私の気持ちは元妻から離れた。と同時に、不倫相手と自然といろんなことが比較されてしまい、今まで、こんなもんだ、と思っていたことが、そうでもないということに気付き始めていた。
例えば、朝、家を出るとき、いってらっしゃい、気をつけて、がない。子供たちにはあるのだが。
帰った時の、おかえりなさい、おつかれさま、がない。
夜中仕事しても、疲れてない?などのいたわりがない。
たまに早く帰ってランチに行くのだが、それも当然のような態度。私が疲れていても。
自分が疲れたら、夕食はコンビニか弁当やさん。
今まで当たり前、こんなもんだ、と思っていたことが、そうではないかもしれない、と気づきだした。
いろんなことで、不倫相手に気持ちが惹かれてしまったのは、至極当然の成り行きだったと思う。
逆に、不倫相手は、いろいろと気遣ってくれ、いたわってくれ、やさしくしてくれた。
不倫相手なんて最初はそんなもんだ、と言われると思う。でも、私は強烈に惹かれた。
しかし、子供たちもまた小さいし、すぐ離婚することを考えていたわけではない。当然ながら、離婚がどれだけ大変なことかわかっていたつもりだったし、子供たちにも大変な苦労かけるかもしれない、ということを考えるとなかなかそんな大それたことはできないことも分かっていた。
しかし、私の気持ちが離れていることに気付いた元妻の態度は、一変していった。
今まで、元妻がどんな態度だったとしても、私は変わらずに元妻にやさしかった。たとえひどいことを言われたり、ひどい態度をとられたりしても、私はやさしかった、と思う。
元妻は、今までとは少し違った私の態度を責めるようになった。
夜中でも、わめき散らすこともあった。
子供たちの前でも、それは行われた。小旅行の出発前、旅行中も、子供たちの前でも、私にバッグを投げつけたり。
私の気持ちはさらに離れていった。