グイン・サーガ83 嵐の獅子たちを読みました。
「彼は、彼と組んだ人間にも、彼と敵対した人間にも災いをもたらす―――
それは何も彼がそのような星のもとに生まれているからというのではない。
そんなことは俺は信じぬ。
そうではなく、彼が災いを呼ぶ男であるのは、彼が、最終的に信ずるに足りないからだ。」
「彼はいずれ、人を裏切る。
―――それがわかっていて、手を組むのはむしろ、そのあいてに対して無礼だといってもいいくらいだ。
手を組まなければ、彼に裏切られたという怒りをもつこともまた、なくてすむのだからな。」
「ひとの信頼を裏切らぬのは、簡単なことなのだよ。
それは、ごく単純に―――信頼を裏切らなければそれでよい。
ひとを裏切って、信頼してもらえぬことになると、
何もかもがきわめて厄介になるからだ――また、土台から信頼を作りなおしてゆかねばならぬ。
ならば、その土台を守ってやったほうがはるかに話が早い。」
「ああして、裏切りと流血で築いた王国と軍勢というものは、いずれまた、
同じ裏切りと流血をおのれにむける―――ほんとうにむけるかどうかではない。
当人が、『裏切られるだろう』と思っていなくてはならぬ。
それは、そうやってその場所を得たからだ。
おのれがそうしたから、ひともそうするだろうと思うのだ。」
「俺は、それがしんどいと思うから、ひとを信じるのだよ。
―――ときに俺は敵をも信じる。
敵の知性を信じられるときにはそれを信じる。
敵の計算づくを信じられるときはそれを信じる。
信じるということは、
なにも何から何まで相手がおのれに都合よくしかふるまわないだろうと考えることではない。
それは信頼ではなくておのれの傲慢というものだ。
信じるというのは、おのれの相手を見る目の正しさをたのむことだ。
その目が正しければ、俺は何も失望せずにすむ。
―――俺はいまだかつて、なにものかに失望させられたことはないと思っている。」
嵐の獅子たち―グイン・サーガ(83) (ハヤカワ文庫JA)/栗本 薫

¥567
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「彼は、彼と組んだ人間にも、彼と敵対した人間にも災いをもたらす―――
それは何も彼がそのような星のもとに生まれているからというのではない。
そんなことは俺は信じぬ。
そうではなく、彼が災いを呼ぶ男であるのは、彼が、最終的に信ずるに足りないからだ。」
「彼はいずれ、人を裏切る。
―――それがわかっていて、手を組むのはむしろ、そのあいてに対して無礼だといってもいいくらいだ。
手を組まなければ、彼に裏切られたという怒りをもつこともまた、なくてすむのだからな。」
「ひとの信頼を裏切らぬのは、簡単なことなのだよ。
それは、ごく単純に―――信頼を裏切らなければそれでよい。
ひとを裏切って、信頼してもらえぬことになると、
何もかもがきわめて厄介になるからだ――また、土台から信頼を作りなおしてゆかねばならぬ。
ならば、その土台を守ってやったほうがはるかに話が早い。」
「ああして、裏切りと流血で築いた王国と軍勢というものは、いずれまた、
同じ裏切りと流血をおのれにむける―――ほんとうにむけるかどうかではない。
当人が、『裏切られるだろう』と思っていなくてはならぬ。
それは、そうやってその場所を得たからだ。
おのれがそうしたから、ひともそうするだろうと思うのだ。」
「俺は、それがしんどいと思うから、ひとを信じるのだよ。
―――ときに俺は敵をも信じる。
敵の知性を信じられるときにはそれを信じる。
敵の計算づくを信じられるときはそれを信じる。
信じるということは、
なにも何から何まで相手がおのれに都合よくしかふるまわないだろうと考えることではない。
それは信頼ではなくておのれの傲慢というものだ。
信じるというのは、おのれの相手を見る目の正しさをたのむことだ。
その目が正しければ、俺は何も失望せずにすむ。
―――俺はいまだかつて、なにものかに失望させられたことはないと思っている。」
嵐の獅子たち―グイン・サーガ(83) (ハヤカワ文庫JA)/栗本 薫

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