豚肉の生食のリスクなどと併せて、牛や野生鳥獣肉(ジビエ)など豚以外の食肉等の生食のリスクについてもご紹介します。
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1.豚の生食のリスクとは?
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■豚肉の生食における経緯
豚の食肉(内臓を含む。以下「豚肉」といいます。)は、寄生虫や食中毒菌による食中毒の危険性があることから、加熱して食べることが一般的でした。しかし、2011年4月の牛肉のユッケによる腸管出血性大腸菌の食中毒事件を受けて、2012年7月に生食用としての牛レバーの販売が禁止されて以降、豚肉が生食用として、一部の飲食店で提供されるような事案が散見されました。このような状況を踏まえて、厚生労働省は、豚肉の生食用としての提供を禁止することとし、二つの規格基準案を作成して、2014年9月、食品安全委員会にリスク評価を求めました。そこで、食品安全委員会では、豚肉を生で食べることのリスクや加熱殺菌の必要性について評価を行いました。
■豚肉の生食のリスク
豚肉には、E型肝炎ウイルス(HEV)、細菌(サルモネラ属菌、カンピロバクター・ジェジュニ/コリ)、寄生虫(トキソプラズマ、旋毛虫(トリヒナ)、有鉤条虫)などの、食中毒の原因となる病原体(危害要因)が、肉や内臓の内部まで存在しています。E型肝炎ウイルスは、劇症化すると死亡する場合があり、トキソプラズマは、妊婦の場合には胎児に影響が及ぶおそれがあります。したがって、豚肉を生又は加熱不十分な状態で食べることには、牛肉や牛レバー以上に高いリスクがあります。
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2.豚肉の生食を禁止へ
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食品安全委員会は、2015年2月に、豚肉は内部までE型肝炎ウイルスや寄生虫などの危害要因に汚染されていると考えられ、また、豚肉の生食によると推定されるE型肝炎や細菌性の食中毒事例が発生していることから、豚の生食禁止の規制導入は妥当との評価結果をまとめました。なお、豚肉の中心部を63℃30分間以上で加熱殺菌するという規格基準案については、リスクの低減に一定の効果があると考えられましたが、E型肝炎ウイルスの加熱への抵抗性に関する知見が限られていることなどから、一律の加熱殺菌条件を示すことは現時点では困難としました。このため、豚肉については、生で食べないこと、現実的なより高い温度で加熱調理を行うことが重要としました。
※厚生労働省は、食品衛生法の新たな規格基準を公表し、2015年6月12日から、豚の生肉や生レバーを飲食店などで提供することが禁止されました。
(参考)
・厚生労働省ホームページ(食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/150602hp_1.pdf
■豚肉を食べる際の注意点
豚肉については、牛肉(内臓を除く。以下「牛肉」といいます。)と比較して、肉の内部まで危害要因が存在するリスクが高いと推定されるため、豚肉を食べる際は、中心部まで十分加熱しましょう。さらに、生の豚肉が、他の食品や調理器具などを汚染することのないように注意しましょう。特に、小児、妊婦、高齢者など抵抗力が弱い方は、一層の注意が必要になります。
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3.豚肉以外の生食も要注意?
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牛肉は腸管出血性大腸菌やサルモネラ属菌、鶏肉はカンピロバクター・ジェジュニ/コリなどによる汚染が懸念されますが、肉の表面が細菌に汚染されていると考えられるため、表面の適切な加熱により食中毒のリスクを十分に低減することができます(ステーキの中はレアでも大丈夫です)。馬肉は、適切な凍結処理でサルコシティス・フェアリー(寄生虫)の感染性が失われるので、流通段階で凍結処理が行われるよう指導されています。
■ジビエの生食は危険なのか?
最近は、猪、鹿などの野生鳥獣肉が「ジビエ」と呼ばれ、人気となっています。猪、鹿などの食肉は、E型肝炎ウイルス、腸管出血性大腸菌、寄生虫に汚染されている可能性が豚肉に比しても高く、豚肉など以上に生食のリスクが高いと言えます。ジビエを食べる際には、中心部まで十分に加熱することが重要です。くれぐれも鹿肉のレアステーキなどを召し上がらないようにしてください。
(参考)
・豚の食肉の生食に係る食品健康影響評価
http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20140910231
・季刊誌「食品安全第42号」P2
http://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/42gou/42gou_2.pdf
食品安全委員会e-マガジン【読み物版】平成27年6月18日配信版 より