危険な香りたっぷりの『キケン』こと、『機械制御研究部』。

男子率99%の某工業大学の有名サークル、とはいえ部員はそんなに多くないのは、元来『機研』は『危険』という暗黙の了解が伝統的に根付いているのと。


それをさらに強調してしまったのが、当時このサークルに君臨した2回生部長・副部長コンビが、それぞれ超1級の危険人物だったから(笑)。


そんなこととはつゆ知らず、半分騙しうちでなし崩し的に入部させられた1回生の、こちらも2人組の一人が、彼女にやんちゃだった頃の自分たちの話をする、というスタイルで進行します。



『男子高校生の日常』が、実写映画化されたそうですが。
ノリはこれに似た感じではありますね。
男子より女子の方が喜びそうなネタです(笑)。



『青春時代が~ 夢なんて~ あとからほのぼの思うもの~♪』
というあの有名な歌詞を地で行く雰囲気ですね(^ ^)


でも、彼らの青春時代の真ん中は、迷っているばかりというよりは、迷わされているばかり?
それも主に、部長の上野氏によって(笑)。



『西南(工業大学)のユナ・ボマー』と異名を取る彼は、主人公の先輩であり、主人公元山とその友人池谷を嵌めて、まんまと入部させてしまった張本人。


その恐ろしげな異名とは裏腹に、人当たりはすごくよくて、私の勝手なイメージで申し訳ないけど、『豊臣秀吉』って感じがします。


ただ秀吉と違うのは、上野氏には爆弾とか火薬とかの知識及び好奇心が半端なく、子供の頃からいろいろやらかして、ついには自宅に出入禁止となり、自宅の庭に建てられたプレハブで生活しているという(笑)。


そんな子供であったにも関わらず、彼がひねたり世を恨んだり、ギリギリのところで悪の道へと踏み外さないのは、本人の性格もあるんだろうけど(基本的に面白いかどうかが判断基準・笑)、ご両親や友人に恵まれていただろうことは、想像に難くないですね(^ ^)


また、彼に関わった人たちの苦労というのも、このお話を読むとわかります(^_^;)

でも、『苦労させられた』という恨みではなくて、楽しい(?)思い出の一つになっちゃってるのは、上野氏の人徳? なのかな?!



そしてそんな、ともすれば暴走気味の上野氏の手綱を締める役、相方の大神氏。


泣く子も・・・怖くてもっと泣いちゃうかもしれない?! 黙って座ってるだけでもなんか怖いオーラが出ているらしいのですが、中身はとってもいい人で。


筋道通ったものの考え方をして、道理に合わないことには怒りの鉄拳!
それ以外は放置プレイ(笑)。
要するにお父さんキャラ。


ちなみに大神氏の異名は『一文字隠れてる』だそうで、何が隠れているのかというと、『大』と『神』の間に『魔』だそうで(笑)。

確かに、怒るとそうなりますね(^_^;)



主人公であり語り手の元山くんは、通称『お店の子』。


お母さんが自宅で喫茶店を経営しているので、サービス業の基本や経営の基礎なんかがしみついていたりします。


そういう環境があってか、わりと中立、バランスの良い考え方の持ち主だと思います。
細かいことによく気が付くし、細かい情報を調べたりまとめたりするのが得意。



対してペアの池谷くんは、何事にもあまり動じない性格。


『キケン』では主に上野氏による様々な事件が起きるわけですが、そういうことにもあまり動じない。
素直に受け止めちゃう感じでしょうか。


かと言ってノリが悪いというわけではなく、一歩退いて後ろから見守りつつ、時には攻撃にも加わる心強い味方、という感じ。
頼もしいです。



この4人を中心にお話が展開していくのですが。


別に『機械制御研究部』の活動で、専門的な小難しい内容というわけではなくて。


大神氏の失恋話だったり、学祭での奮闘ぶり(『キケン』は毎年売上ナンバーワンを誇るラーメンの模擬店)や、PC研との闘争、マイナーなロボット相撲大会での戦いぶり(『キケン』は全国クラスの大会でも良い成績を残せるレベルだけど、まぁいろいろあって盛り上げ役として参加?!)など、メカに弱い女子でも読みやすい内容。


そこで一喜一憂する(というか、一喜のために十憂くらいしている気がしますが。主に上野氏のせいで・笑)彼らの姿が面白くもあり、愛おしくもあり、胸キュンでもあり。


なんというか、女子にはないこの団結力というか絆というか。

女子の永遠の憧れとも言える部分がてんこ盛り盛りですから♪


う~ん、これってなんで女子にはないんでしょね?



でも、上野氏みたいな人が上司だったら、仕事も楽しいだろうなぁって思います。

ハチャメチャだけど、本当に大切なことはちゃんとわかっていて。
無茶させられてばかりだけど、それでもみんな楽しそうなんだよね(笑)。

きっとすごく大変なんだろうけど、充実していそう。


なんだかんだ言って、無茶ぶりされても誰も上野氏を憎んだり嫌ったりしてないどころか、むしろ大好きなんですよね~。

ある意味ドSとドMの集まりなのか?!


『キケン』のメンバーで起業したら面白かったのに、とも思うんだけど、そういう無茶はやっぱり、社会人になったら卒業しなくちゃなんですかね(^_^;)


逆に上野氏みたいな人が部下だったら、自分は相当『親』の立場にならないとキツそうだけどね(^_^;)



そんなわけで、大変楽しませていただきました♪♪♪

これ、ノイタミナあたりでアニメ化されそうな気がしない?