笑うなよ、実は最近天使を見るんだ。

子供の天使もいればおっさんもいる。

なんと犬の天使までいたんだな。

そいつは車の屋根で寝ていたんだ。

顔を見てやろうと正面にまわったら突然うなりはじめ、車から降りてきた。

噛まれたらやばいと思ったけど、逃げずに向き合ったんだ。

俺は両手を広げて敵対心がないことを示したんだけど、やつは牙をむき出しせまってくる。

気づくとやつは目の前にいて、今にも噛みつきそうな位置にいた。

ほぼ鼻が触れ合った直後、ふっとやつの牙が口の中に隠れ、ぴとりと俺の胸に顔をうずめてきたんだ。

俺は広げた両手で思わず犬を抱きしめた。

ひなたの匂いがいっぱいして何とも言えない幸福な気持ちになったんだ。

しばらく抱き合ったままいたんだけど、そのうちどちらからともなく離れたよ。

やつは再び車の屋根に戻ったので改めて前に立ったら、あいつ逆光の中でにこにこと笑ってたんだ。

天使の定義なんてよく知らないけど、あいつは天使に思えたんだ。

至福な時間をもたらしてくれた相手ってことかな。
心の奥にあるキズ。以前できたキズ。

ふだん、そのキズは痛まない。

忘れていることもある。

だけど、そのキズを思い出すときがある。

それは、誰かを好きになった時。

そして、今度はキズつかないようにしよう。

キズつくならやめよう。

そんなことを思う。

キズつかないようにするには

確認したり試したり

遠回りすればいい。

そうすれば、キズつく前にすぐひきかえせる。

だけど、失うものもある。

素直に行動できない。

気持ちを言えない。

踏み出す勇気が持てない。

キズが一つも無い人なんていない。

誰だって、何かにキズついている。

だけど、それにとらわれていたら

いつまでたっても次に進めない。

キズついたことがあっても

好きになったら素直になりたい。

試したり心配しないで

まっすぐ飛びこんでいきたい。
ひとりで空を見上げる。

そこには、いつものように空がある。

なにがあっても

ひとりでいても

空はいつもそこにある。

ひとりで空を見ていると

なんだか、ひとりの空も悪くない。

そんなふうに思う。

もちろん好きな人と一緒だったら

もっといいかもしれないけど。

だけど、それでも

いま、この空は自分だけのもの。

いま空を見上げている人は

どれくらいいるだろう。

いつか出会う人も

この空を見上げているかもしれない。