入院生活~病室の外の世界~

 

トイレとお風呂の時だけは、何もないただ広いだけの病室から出られるようになった。

恐らくそのころにはもう、3本の点滴は外れていたのだろう。

 

初めて病室のドアを開けるときは少しドキドキした。

部屋の外から聞こえていたのはどんな子どもたちの声だったのだろう。

どんな子がいるのかな。どんな病棟になっているのかな。

どきどきとわくわくでいっぱいだった。

 

いざ、病室からでてみると目の前はナースステーションだった。

だから看護師さんの声がよく聞こえたのか!

 

小学校低学年くらいの子から高校生くらいまでたくさんの子どもたちがいた。

みんな顔見知りで仲良しそうだった。

だから私が目新しいのか、外に出るとみんなの注目の的だった。

話しかけてくる子もいた。

私の病室をこっそり覗いて怒られていたのはこの子かな...と想像したりしていた。

 

病院から学校に通っている子もいるようだった。

体も大きい子から細い子まで様々だった。

 

久しぶりに小さい子や同学年の子と話した。

話したといっても、トイレに行くまでと部屋に入るまでの間。

時間は限られているため、一言二言だけだった。

それでも私は嬉しかった。

 

病棟にはご飯を食べる部屋、テレビが見れる部屋、中庭などがあった。

そこに私が行けるようになるのはもう少し先。

 

久しぶりに歩くため、足が突っ張るような感じがして上手く歩けず、手すりが必要だった。

すぐ近くにあるはずのトイレが遠く感じる。

なんだかとても情けない...

 

 

ようやく出れた外の世界。

元気な子もたくさんいてとっても楽しそうだったが、ここは病院。

なんだか複雑な気持ちになった。

 

闘っているのは私だけではない。

病室の外の世界を見て、そう思えるようになったら少し気が楽になった。