そんな様子を先生から聞いた母はひどく心配して、友達と外で遊ぶと楽しいわよ、とわたしに言うので、わたしは嘘の話を母にした。
本当はいつも通り教室で絵を描いていただけなのに、今日はおともだちと遊具で遊んで楽しかったよ、先生がこんなに優しくしてくれて嬉しかったよ、と母親に嘘の話をして、それを聞いた母が安心したように喜ぶので、嘘をつき続けた。
それからずっと明るい自分でいなければいけないと思って、明るく振る舞うことをおぼえて、友達も増えて、わたしは本当に明るい人間になった。
ひとりは寂しいから、誰かといるようになった。ひとりでいると思われるのが怖くなった。大人数で行動して、騒ぐことが好きになった。
だけどやっぱり、小さい時にひとりで過ごしていたもんだから、根っこの部分は変わっていないわけで、そんなことを続けていると疲れてしまうようになった。
今は周りも結婚したり、遠くへ引っ越したりしてまたひとりの時間を持つことが増えた。
ちょっぴり寂しいけれど、子どもの頃に戻ったような気分で、懐かしい。
ひとりは、決して悲しいことではない。わたしの根っこの、わたしの人格を形成した大事な核となる部分は、あの教室でひとりで絵を描いていた時間だ。
わたしは元々ひとりだったのだ。
教室にいた私は目の前に広がる自然や人を絵に描いて、空想をして、その物語の中に入った。
成長して身につけた沢山のいらない思い込みや、常識を少しずつ捨てて、子どもの頃の純粋な自分に還ってゆく。
母親を安心させるために嘘をついたあの頃の自分を抱きしめたい。あんたはひとりじゃないよ、私がずっと一緒にいる。いまもあんたは私の中にいる。
そして、そんな孤独から救ってくれた友達、ありがとう。いつ仲良くなったのか覚えてないけれど、本当に救われたのです。これからもよろしくね。
