2021年1月11日。
flumpool 10th Tour 「Real」大阪公演に参戦した。

やっぱり、生の音楽を聞く場はこの世界に必要だと強く実感した。

flumpoolのワンマンライブは初めてだった。
彼らのことを知ったのは2008年。
ドラマ「ブラッディ・マンデイ」の主題歌だった「Over the rain 〜ひかりの橋〜」がきっかけだった。
どこか物悲しいメロディながらも、「夢だけを信じ歩いていこう」と優しく力強い歌詞と歌声が大好きで、繰返し聞いていたのをよく覚えている。
それからよく聞くようになり、「星に願いを」「labo」「Answer」など、何度聞いたか分からないくらいよく聞いている。

2019年6月に開催されたAmuse Fesで、初めて彼らのステージを見た。
そのライブは、ボーカルである山村隆太くんが活動再開して初めてのライブだった。
先輩であるポルノグラフィティのボーカル、岡野昭仁さんをゲストボーカルに迎えた「星に願いを」の澄み切った歌声のユニゾンがあまりに美しくて、目の前に立ったflumpoolのライブTシャツを着た二人の女の子がタオルに顔を埋めて泣きじゃくっている光景と合わせてよく覚えている。
「星に願いを」のみならず、よく聞いていた「君に届け」「花になれ」なども圧巻のパフォーマンスで、そのCD音源と遜色のない演奏と、テンポのいい漫才のようなMCに惹かれ、いつかワンマンライブに行きたいとずっと思っていた。

もちろん不安はあった。
日に日に増える新規感染者数、関西三府県での緊急事態宣言発令要請…。
どれだけ対策をしても、「絶対大丈夫」はない。
もし感染してしまったら?
発症してしまったら?
自分が健康を害するだけでなく、周りにも多大な迷惑をかけてしまう。
直前まで悩んで、それでもライブが恋しくて、フェスティバルホールに足を踏み入れた。

そんな私の思いを、隆太くんは優しくすくい上げてくれた。
「勇気を出して会いに来てくれてありがとう。」
そう、ステージの上から言ってくれた。
ああ、来てよかった。
私の行動は、もしかしたら後ろ指を指されるかもしれない。
みんなが自粛しているときにライブに行くなんて、自分勝手だと言われるかもしれない。
だけど、悩んで悩んで出した結論を、彼らは「勇気」と呼んでくれた。
それだけで、このコロナ禍を乗り越えていける気がした。

ツアーはこれからも続くため、詳細な感想は差し控えるが、
余計なものをそぎ落とした「ライブ」の芯の美しさを目の当たりにした。
会場を震わせて響く音楽、シンプルながら曲の世界観をステージに展開する照明、そしてその演奏を身体を揺らして楽しむ観客。
ライブの楽しさの本質を、美しさの根っこの部分を見た。
ライブ自体の開催が危ぶまれている今だからこそ、その楽しさが、美しさが胸に沁みた。

ライブは総合芸術だと思う。
網膜に焼き付くような眩い照明。
心臓に響くドラムのビート。
息が苦しくなるようなベースのサウンド。
鼓膜を震わせるギターの音色。
まっすぐに胸に届く歌声。
その全てが詰まった、かけがえのないもの。

そんな美しく多幸感に満ちた大切なものを、私たちは一時は失った。
音楽イベントやライブが次々に中止になっていったときの心細さを忘れることは無いだろう。
それでも、またこうやって、ライブは開催された。
完全に元通りとは言えずとも、今、こうやって復活した。

これからまた、ライブの開催が危ぶまれることがあるかもしれない。
それでも、ライブをしたいと願うミュージシャンと、ライブに行きたいと願う私たちがいれば、互いに音楽で繋がりたいという強い願いがあれば、きっとライブはできる。
また前のように満員の客席で、歌って、叫んで、踊って、笑って、心の充電を満タンにできる日がくるはずだ。

根拠はないけど、きっと大丈夫。
そう強く信じられたライブだった。

最後になるが、このツアーに関わる人全員が、健康で、笑顔でこのツアーを完走できることを心から願っている。