函館山の麓をぐるりと周り、海峡を行き交う船を見下ろす高台の喫茶店。
 周囲は外人墓地に囲まれた静かな高台だ。

 蝉の声がどこからともなく響くなかで、冷たいアップルティーを飲む。
 アップルティーの中をフェリーが通る、そんなロマンチックな場所に居るのは男4人組。

 北海道でのゴルフの合間に、あちこちとむさ苦しい男どもは観光地をさすらっている。

 旧公会堂、ハリストス教会、五稜郭、トラピスチヌ修道院、石川啄木、土方歳三、路面電車、函館山からの夜景。

 どれもこれもが、美しいイメージを伴っている。

 翌日の、函館市の東山にあるゴルフ場からの眺めは圧巻だった。

 函館のミニチュアのような市街地の向こうに、函館山を遠望する光景は、観光パンフレットなどではお目にかかれない。

 夜には海鮮市場、夜のビアガーデン、居酒屋横丁と巡る。賑やかな街だ。

 そんな中で、どこかで感じる違和感について考えはじめていた。
 地元の生活圏と東京資本の観光地との混在がもたらす違和感、そんな気がした。

 華やかな函館の影で、真に生活する人々の姿こそは、本当の函館ではないのか。
 
 本当の函館は函館山からの夜景ではなく、街の奥に悠然と聳える函館山の麓に息づく静謐な生活の美しさだ。