ついに、このときがやってきた...。
声が聞こえる....。
それは直接、耳に届いているような奇妙な感覚で聞こえた。クロは計画の施行に移った。
右の拳を点に掲げる。
「《闇夜の元に住まし、黒の軍勢よ。我に力を。暗黒の喝采を....」
森林の至る所から、手に悪の瘴気が纏わりつく。
それに伴い、森林全体に不気味な風が起こった。
紺碧の空が一層濃く、黒く滲んでいるようだった。
それはこの瘴気の生み出す力。
自然をも別物にするほどの偉大な力。
クロの詠唱は最終段階に入っていた。
「全てを薙ぎ払え。全てを掻き消せ。ニヲベルグ無比の混沌の力...。闇夜の下、暗澹なる力を...。今...!アグノーツ!!》」
手に纏わり付いた着いた瘴気が、一斉に身体中に入り込んだ。
覚醒のとき...。
百年前に生んだ未練を果たす時...!
クロはかつてないほどの笑みを浮かべ、哄笑する。
「アッッハハハハっ!僕の力が...。力が....!あいつを斃す力が...!」
暗黒の瘴気に纏わり付きながらも、盛大に嗤う少年。クロ。
悍ましいほどに、それは怪物にしか見えなかった。
いや、事実。怪物なのだ。
百年前、この世界に覗いた怪異『アグ』、『ニヲベルグの暗黒覇者、アグノーツ』の再来。
それが少年、ヴェルフ・クローイア。
前世での過ちを悔い。
拭いきれないほどの未練を抱えた、一人の化け物。
彼は、その失態を心から憎んだ。
だから、それを晴らす。
前世、たまりに溜まった鬱憤を....
爆発してやる!!