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鎌仲ひとみ監督『ミツバチの羽音と地球の回転』
私はこういう運動系活動系は苦手で、これまでドキュメンタリーあんまり見たことなかった。これは説教臭くなく、静かで重く、すごい映画でした。
山口県の祝島という小さな平和な島が、原発誘致によって恐ろしいことに...。地上げ屋的な想像できる展開ではあるが、ニュースなどのダイジェストではなく、本物の映像でじっくりみると、怖すぎる。重すぎる。
島の一人一人が、とてもおだやかで、優しそうなおばあちゃんばかりなのだが、そんな人たちが本気で怒っている、...いや、本気で怒らせてしまった緊迫感の映像の迫力に圧倒されるし、切なくて胸がしめつけられるものがある。
電力会社の工作員(というと言い過ぎですが普通の職員ですね)の「原子力は、絶対安全ですから」「あなたたちは、いつまでもそんな貧しい生活でいいのですか?」などなど悪魔のような囁きと誘惑。私はその攻防が何となくオウム真理教事件の末期のやりとりの感じを連想させた。たぶん電力会社職員や推進派は、もはや科学的な理屈ではなくて、どこかの過程で強烈にマインドコントロールされているように見えた。オウム真理教の時も、子供でも道徳的に狂気が理解できる殺人教義だったが、それでも入信する人が後を絶たたず、結局大量殺人も止められなかった。彼らは一人一人は虫も殺せないような優しそうな若者達だった...。電力会社の一般職員も、きっといい人ばかりなのは想像がつく。今も福島で命を削って作業している人が大勢いる。誤解があるといけないので強調するが、電力会社=オウム真理教とか、悪の手先と言っているのではない。正しいと信じる気持ちが、知らずにとんでもない結末になることが、まれにある。なんかそのモヤモヤした運命的な引き返せない潮流の怖さを感じた。
原子力、この人類には持てあます技術に疑念と恐怖を抱く人が少なすぎる感じがした。
原子力って、例えば、高速道路でチンパンジーが運転しているタクシーに乗っているみたいだ。それで事故が起きても「次はもっと運転の上手いチンパンジーだから大丈夫です!」と真顔で言われる...。なぜチンパンジーのタクシーにわざわざ乗らなくてはいけないのか?原発がないと本当に人類は生きていけないのだろうか?
原子力は、CO2は出さないクリーンさを強調しているが、映画の中で、原子炉冷却水の熱湯をものすごい量を海に排出し続けて、祝島周辺の海水温度が上昇して海の環境が激変。これは放射能の安全性以前の問題...。
一方、スウェーデンの事例は、すごいと思ったが、実は個人的にはあまり心を打たなかった。事例を知る上でとても興味深く、賛同する人たちも大勢でることでしょう。が、文化的背景の違う“彼ら”が生み出した方式の表面だけをまたマネしても、何かいつものように日本の風土には根付かない予感がした。それよりも、日本の祝島の人たちが、自分たちの生き方を、悩みながら、傷つきながら決断する過程が私にはどこか斬新に思えた。
さて圧巻は何とこの映画、震災・福島原発事故前の2009年制作という点...。
日本人は、全員一度見ておいた方がいいのでは?1億人感想文提出か?! 見てから、それぞれ原発問題語った方がいいね。もっとも脱原発の前に、脱日本人同士いがみ合い。政治批判やケンカしている場合じゃないね...。
たまにはまじめにレビューして、
★★★★★
ちょっぴり長いので、気持ちが充実しているときに見ることをオススメします

試写後に署名もしました。