エイジレスの364回 貧困の撲滅と気候変動の緩和は両立するか

 

 

 先進国においては、二酸化炭素の排出量が抑えられて、いい方向に向かっているのですが、中国やインド、アフリカをはじめとする急速な経済成長を続けている地域においては、二酸化炭素の排出量は、ガンガン増えています。

 

 経済的貧困が色濃く残る地域においては、地球温暖化の対策はずっと後回しになっていますし、住民の健康問題さえも無視されている現実があります。

 

 幸福を追求する権利は、誰にしもある権利なので、貧困からの脱出を目指している方々にあれこれ言うのも難しいところがありますが、地球温暖化対策は、待ったなしの状況なので、何とか両立したいと考えた方の論文です。

 

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 極度の貧困とは、人間の基本的ニーズ(食料、水、医療、エネルギーを入手できること)が満たされない状態であり、これを2030年までに終わらせることが、国連の持続可能な開発目標の最初の目標となっている。

 

 ところが、全ての人々に資源の入手可能性を保証しようとすると、炭素排出量が増え、パリ協定の気候目標(産業革命前からの気温上昇を摂氏2度までに抑えること)の達成が危うくなると予想されている。

 今回、Klaus Hubacekたちの研究グループは、貧困の撲滅が達成されることで気候目標の達成にどのような影響が生じる可能性があるのかを調べた。

 

 この研究では、極度の貧困(人間の基本的ニーズが充足されず、1日当たりの収入がPPP1.90米ドル未満の状態)を撲滅することで、気候目標の達成は脅かされないことが明らかになった。

 

 その一方で、貧困層の所得レベルを次の段階(先進工業国の基準では「かなりささやかな生活」である1日当たりの収入がPPP2.97米ドル以上)に引き上げようとすると、気候変動緩和活動を27%強化する必要があるとする考えが示されている。

 

 しかし、現在の技術で炭素排出量の増加に対処することはできない。

 

 Hubacekたちは、収入が最も多い層の人々が炭素排出量に対する責任の割合が最も大きく、これ以上の技術革新が起こらないと仮定した上で、今後の気候変動をめぐる議論では低炭素社会と持

続可能な世界に移行するための生活様式と行動の変化に取り組むべきだと結論付けている。
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 一応、論文では、貧困の撲滅と気候変動の緩和は両立すると言ってはいます。

 

 しかし、貧困層の所得レベルを「かなりささやかな生活(1日当たりの収入がPPP2.97米ドル以上)」にすると、新たな対策をしないと地球温暖化が防げないようです。。

 

 貧困層は、70億人余りの3分の一ほどいると言われていますし、それなりに満足できる所得がある層は、1割ぐらいしかいないので、ハッキリ言って、地球温暖化は防げそうにありません。。

 

 ということで、個人的には、大きな気候変動があることを前提に対策をとっておいた方がよろしいかと思います。

 

 地磁気の逆転(北と南が入れ替わる)も始まっていますし。。