エイジレスの360回 暗闇で光る有機材料
シール、ペン、ネイル、塗料、おもちゃなど、暗闇で光るグッズは、結構昔からありました。
で、この光る技術を蓄光 (ちっこう) といい、光(電磁波)(例:可視光やUV光など)を蓄えて、光照射を止めても発光する物質の性状をいいます。
また、蓄光性を持つ物質が暗所で発光する際の光を「燐光(りんこう)」といいます。
以前は、放射性物質を使ったものもあって、安全性に問題があったようですが、最近は、アルミン酸ストロンチウム蛍光体による「N夜光(ルミノーバ)」と呼ばれるもので、従来の硫化亜鉛系蛍光体よりも残光輝度が10倍高く、残光時間も10倍長い物質が使われているようです。
今回は、さらに進化した蛍光物質のお話です。
---------------------------------------------
長寿命発光(LPL)材料は、時計や非常用標識に用いる夜光塗料に広範に利用されている。
しかし、市販されている夜光塗料の大部分の基盤となっている無機系は、長寿命発光を実現するために希少元素だけでなく、製造プロセスで摂氏1,000度以上に温度を設定する必要がある。
これまでのところ、有機分子からの持続的な発光(りん光)は、わずか数分間だった。
今回、九州大学の嘉部量太(かべ・りょうた)助教と安達千波矢(あだち・ちはや)教授は、2個の単純な有機分子を用いて、有機物からのLPLが室温で1時間以上持続することを実証した。
今回の研究で示された有機LPL系は、現行の無機LPL系と異なり、希少元素は含まれておらず、透明で、製造と加工も容易になった。
嘉部と安達は、この有機LPL系が、今後の開発研究の進展によって柔軟性を備え、色の調整ができるようになる可能性を秘めているという考えを示しており、こうした特性によって繊維製品、窓ガラス、塗料や生きている動物の体内の画像化へのLPLの応用が実現されることを期待している。
---------------------------------------------
1時間もの間、光をためておけると、色んな事に使えそうです。
しかも、安全で、透明で、製造も加工も容易とのことですので、防災用グッズなんかには、広く使われそうですし、イベントグッズなどにも良さそうです。
そのうち、身の回りのものが、いつも光ってるなんてことになるかもしれません。