エイジレスの357回 元ラグビー選手の健康問題

 

 

 アスリートの方が、引退後の喪失感やケガの後遺症などで、人知れず苦しんでいるという話を聞くことがあります。

 

 特に、プロスポーツで長年過ごして来られた方は、人生の転機となるような大きな出来事、例えば家族を亡くした、あるいは家を火事で失った人に近い反応を示すとのことです。

 

 今回は、健康に関する影響について調べた報告です。

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 Madeleine Davies、Nigel Ardenたちの研究グループは、自己申告による質問票を使って、エリートラグビー選手だった男性259人の健康のさまざまな側面を評価し、一般集団の年齢標準化サンプルの場合と比較した。

 

 その結果分かったことは、50歳以上の元ラグビー選手が、英国縦断的高齢化調査(English Longitudinal Study of Aging; ELSA)の参加者5186人と比べて、骨粗鬆症や変形性関節症にかかり、関節置換手術、人工股関節や人工膝関節の置換手術を受ける可能性が高かったことだ。

 

 また、元ラグビー選手は、イングランド健康調査(Health Survey for England)の参加者2981人と比べて、運動性と疼痛/不快感について問題があることを報告する確率が2倍高いことも判明した。

 

 これに対して、元ラグビー選手が糖尿病を発症するリスクは有意に低く、この点については、一生の運動量が多いことの反映である可能性があるが、いずれのグループについても現在の運動に関するデータがないため確認できていない。

 Daviesたちは、元エリートラグビー選手が変形性関節症を発症するリスクが高いため、ラグビー選手に対して将来を見越した教育と管理を行う必要があると提案している。

 

 また、今回の研究に参加したのは、アマチュア時代のラグビー選手だった人々であり、現代のプロのラグビー選手とは、選手の体格など多くの点が異なっているため、今回の研究によって得られた新知見を現代のプロのラグビー選手、女性選手や運動量の少ない一般の愛好家に適用できるかどうかを見極めるには、さらなる研究が必要となっている。

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 元ラグビー選手は、糖尿病の発生リスクが少ない反面、変形性関節症を発症するリスクがあるようです。

 

 激しいぶつかりや、不自然な倒れ方など、結構、過激なスポーツですので、関節が変形するのもわかるような気はしますが、中には、生活に支障が発生する場合もあるようですので、現役時代からの健康管理が必要なようです。

 

 最近のスポーツには、科学的な知見が取り込まれて、益々、進化していますが、健康面においても、進化が進んでいるようですので、引退後の健康問題がなくなることを期待します。