エイジレスの356回 汚れた衣類に集まるトコジラミ
トコジラミは、吸血性の寄生昆虫です。
別名、南京虫(なんきんむし)、床虫(とこむし)とも言います。
「シラミ」と命名されていますが、シラミ目ではなく、カメムシ目トコジラミ科の昆虫で捕食性のカメムシであるマキバサシガメ科などに近縁とのことです。
刺咬する際に唾液を宿主の体内に注入するが、この中に含まれる物質が引き起こすアレルギー反応で激しいかゆみが生じます。
俗に、刺されると肌に2つの赤い痕跡(刺し口)が残ると言われるが、実際には刺し口は1つであることの方が多い。
かゆみは刺された当日よりも、2日目以降の方が強く、刺咬の痕跡は1ないし2週間以上消えない。
住居では、畳の隙間やコンセントの隙間、壁の隙間、ベッドの裏、絨毯の裏、読まないで長期間放置している見開き雑誌などに隠れていることが多いようです。
ベッドの縁や壁の隙間などに半透明楕円形の卵を産むが、卵を全て発見し除去しないと再発生を繰り返すとのこと。
日本では、稀にしかいないようですが、海外旅行や船により持ち込んでいるようです。
伝染病の媒体ともなりえますので、お気を付けください。
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近年、ごく普通のトコジラミが世界的に勢いを盛り返しているが、その原因の1つが、格安航空会社を使った海外旅行の増加だとされている。
そして、トコジラミの長距離分散を促進する機構の1つとして、トコジラミが衣類や旅行かばんに集まってくることが挙がっている。
今回、William Hentleyたちの研究グループは、温度制御された2つの全く同じ部屋にそれぞれトコジラミを放ち、4個のトートバッグ(汚れた衣類の入ったトートバッグが2個、清潔な衣服の入ったトートバッグが2個)を置いて実験を行った。
毎回の実験では、いずれか1つの部屋で、ヒトが室内にいて呼吸している状態を模倣して二酸化炭素の濃度を上昇させた。
その結果、ヒト宿主がいない場合には、トコジラミが汚れた衣類の入ったトートバッグに集まる確率が清潔な衣服の入ったトートバッグの2倍に達することがわかった。
また、室内の二酸化炭素の濃度を上昇させると、トコジラミが隠れ家のトートバッグから離れて宿主を探索する行動を始める確率が上昇することも明らかになった。
Hentleyたちは、汚れた衣類に残されたヒトの体臭が宿主探索行動の誘発物になっていると主張している。
その結果として、トコジラミが湧いている部屋では、開けっ放しのスーツケースや床に放置された汚れた衣類にトコジラミが集まってくると考えられている。
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