エイジレスの351回 –220〜–120℃で液体のようにふるまう氷
恒星1やそれを取り巻く惑星系1は,星々の間を漂うガスの濃い領域(分子雲)から誕生します。
分子雲の中では,約-263℃の低温で揮発性元素(水素,炭素,窒素,酸素)が多様な分子をつくり,また氷(星間氷)としても存在しています。
近年,アルマ望遠鏡によって分子雲に多数の分子が新たに発見され,また分子雲やその後の星形成に伴ってつくられる原始惑星系円盤の化学構造の多様性なども報告されています。
星間氷については,その表面で多様な分子が生成されていることや,紫外線の照射によって氷内の分子の結合が切られ,それらの分子を材料に複雑な有機物がつくられることが知られており,これらの複雑な有機物が,彗星や地球外物質中に発見される高分子有機物の起源と考えられています。
が、これまでは,有機物形成の場となる星間氷そのものの性質については、よくわかっていませんでした。
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太陽などの恒星や地球のような惑星は,分子雲とよばれる星々の間を漂うガスの雲から誕生します。
この分子雲に存在する氷(星間氷)を模した紫外線照射非晶質氷(水・メタノール・アンモニアの混合氷)が,-210〜-120℃の低温で,これまで考えられてきた固体状態ではなく,液体的にふるま
うことを発見しました。
また,純粋な水からなる氷も紫外線照射により-220〜-130℃で液体状になることを発見し,紫外線照射で現れる液体的なふるまいが,水氷に特徴的な現象であることがわかりました。
液体は化学反応を促進するため,星間氷の液体的なふるまいは,生命材料有機物にも関連する複雑有機物の形成を手助けしている可能性があります。
また,液体状の氷の存在は塵の効率的な付着を助ける可能性もあり,惑星形成の第一歩である塵の集積過程の理解にもつながると期待されます。
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水が、-220〜-130℃でも、液体状になるとは、驚きです。
こうなると、生物がどこで発生しても、不思議ではないような気がします。
まだ、地球外生物の存在は確認されていませんが、生物の元となる有機物は、色んなところで見つかっているようですので、遅かれ早かれ、地球外生命体が見つかりそうな話になってきました。