エイジレスの350回 干ばつや高温に強い作物の開発
地球レベルの環境劣化が進み、異常気象による農業被害が深刻化しています。
さらに地球温暖化の影響によって、急激な温度変化や干ばつなどが頻発するようになると予測されています。
このため、環境ストレスに高い耐性を持つ作物の育種が重要となっています。
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共同研究グループは、植物の干ばつと高温の両方の耐性獲得に働く転写因子DREB2Aの活性化の機構の解明に成功しました。
植物は、高温や乾燥などの環境ストレスを受けると、多数の耐性遺伝子の発現を誘導することにより耐性を獲得します。
干ばつと高温の複合ストレス下では、植物は蒸散による体温の低下の仕組みを働かせることができなくなることから、大きなダメージを受けます。
DREB2Aは高温と乾燥の両方のストレスに応答して活性化することから、この複合ストレス時に重要な機能を示します。
DREB2Aはそのままでは活性を示しませんが、DREB2Aの構造からNRDと名付けられた中央部のアミノ酸配列を除くと、安定な活性型(DREB2A CA)に変換され、これを植物に導入すると乾燥と高温の両方のストレスに対する耐性が向上します。
しかし、このDREB2A CAの活性化の分子機構は、10年以上不明なままでした。
本研究によって、NRDはタンパク質の分解系であるBPM-CUL3 E3リガーゼが認識して結合する配列であり、その結合によりDREB2Aの分解機構が働くことが明らかになりました。
DREB2A CAはNRDを持たないため、BPM-CUL3 E3リガーゼによって認識されず分解されないため安定化します。
このように、NRDを除くとDREB2A CAが安定化して活性型に変換される機構が解明されました。
植物中ではストレス時特異的にリン酸化などの修飾や未知のタンパク質によってNRDがマスクされる機構が考えられます。
この研究により、植物の高温や乾燥ストレスに対する耐性獲得機構の理解が進むとともに、高温や干ばつに対する耐性を向上させた作物の開発への応用が期待されます。
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大変わかりにくいかと思いますが、NRDという名前のアミノ酸がなくなると、高温や干ばつに強い作物になるようです。
どうやってなくすかは、これからのようですが、既に、世界各地で干ばつの被害がでていますので、早めの開発が望まれるところです。