エイジレスの348回 親の年齢が子の新しい遺伝学的変異に影響

 

 

 日本では、晩婚化が進んで、親になる年齢も上昇しています。

 

 結果的に、一人の女性が出産する子供の数も減少して、社会的問題にもなっていますが、遺伝学的見地からみると、もっと深刻な問題もあるようです。

 

では、論文をどうぞ

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 親(特に父親)の年齢が高くなるほど、その子の新しい遺伝学的変異の発生率が高くなるとする論文が今週掲載される。

 

 また、ヒトのde novo変異(DNM、ある家系に最初に現れる遺伝子変化で、両親のいずれかの卵あるいは精子に生じた1変異が原因)についてのこれまでで最も大規模な供給源も報告された。

 

 ヒトゲノムに塩基配列多様性を生み出す変異過程を理解することは、遺伝医学や進化研究に最も重要である。

 Daniel Gudbjartssonたちは、親の年齢や性別がDNMの変化を引き起こす仕組みを理解するために、1万4688人のアイスランド人(両親と子の3人組から構成される1548組。そのうちの225組については少なくとも1人の孫を含む)の全ゲノム塩基配列の解析を行った。

 

 10万8778個の高品質DNMが突き止められ、家系当たり平均70.3個のDNMが存在することが分かった。

 

 母系のDNM数は年齢が1歳上昇すると0.37個増加したが、これは父系のDNM数は年齢が1歳上昇すると1.51個増加したことと比較すると、4分の1にすぎない。

 

 また、クラスターを形成した変異の数は父親の年齢よりも母親の年齢の上昇に伴って急速に増加すること、母系のDNMクラスターが存在するゲノム範囲は父系のものよりも大規模であることも分かった。

 

 さらに、母系のDNMの種類は加齢に伴い大きく変化した。

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 突然変異を専⾨的に⾔うと、「de novo変異」となり、発端者で初めて⽣じる変異を指します。

 

 de novo変異の解析には「トリオ解析」と呼ばれる⼿法が⾏われます。

 

 トリオ解析とは、発端者とその両親の計3名の遺伝⼦を解析することであり、両親に⾒られず発端者のみに⾒られる遺伝⼦変異をde novo変異と言っています。

 

 で、ある統計学的な⼿法を⽤いると、少なく⾒積もっても先天性⼼疾患の10%は、このようなde novo変異が原因と推定されるとのことです。

 

 

 遺伝学的には、子供が欲しいと思っている方は、早めの行動がよろしいようです。