エイジレスの343回 脳のシワを解明

 

 


 大脳皮質の表面に見られるシワ(隆起)のことを「脳 回」と言います。

 

 進化の過程で、脳回ができたことによって,多くの神経細胞を持つことが可能になり,その結果,脳の高機能化につながったと考えられています。

 

 脳回は、世界的にも注目されていますが,脳回ができる仕組みはいまだに謎に包まれています。

 

 今回のお話は、そんな謎に包まれたシワのお話です。

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 ヒトの脳の表面(=大脳皮質)に存在する脳回は脳の高機能化に極めて重要だと考えられ世界的にも注目されています。

 

 しかし医学研究に多く用いられているマウスの脳には脳回がないため脳回に関する研究は困難であり,脳回ができる仕組みは謎に包まれています。

 

 そこで本研究グループは,ヒトに近い発達した脳を持つ高等哺乳動物フェレットを用いた独自の研究技術を世界に先駆けて開発してきました。

 今回,本研究グループは最近注目されているゲノム編集技術を使って,フェレットの脳を解析するための研究技術を世界に先駆けて報告しました。

 

 この技術を用いて,大脳皮質の表面近くに存在する神経細胞が脳回をつくるために重要であること,また,Cdk5という遺伝子が働くことが重要であることを明らかにしました。

 従来,脳回ができる仕組みやヒトの脳回異常疾患の発症の仕組みに関する研究データはあまりなく,本研究は世界に先駆けた研究成果です。

 

 本研究を発展させることにより,マウスを用いた従来の研究では解明が困難だったヒトの脳における進化の過程の解明につながることが期待されます。

 

 また今回開発された技術を用いることにより,これまでマウスでは解析が困難だったさまざまな疾患病態の究明に発展することが期待されます。

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 脳回の研究は、まだ道半ばという感じですが、解明が進んでいないだけに将来が楽しみな分野です。

 

 出来れば、脳の再生医療まで進んでくれたらと思います。