エイジレスの336回 温暖化が突然大寒冷へ変わる現象も

 

 

 過去260万年間の第四紀の気候は、地球の公転軌道や自転軸の傾斜角などの変化による日射量の地理的分布の変化により、氷期と間氷期を繰り返しています。

 

 それは2万年より長いミランコビッチ周期で起こりますが、最終氷期には千年~数十年の短い時間スケールで起こる急激な気候変化が知られています。

 

 それは、少し誇張されていますがデイ・アフター・トゥモローという映画の題材にも使われています。

 


 約79万年前〜76万年前の間氷期は、軌道要素が完新世(1.1万年前~現在)に近いことから、その気候記録が将来の気候予測に役立つと考えられています。

 

 また、最後の地磁気逆転が同間氷期中に起こり、それが原因で最高海面期に寒冷化が起こったことでも注目されています。

 

 しかし、その後の気候回復については謎のままです。

 

 2015年と2016年に同間氷期の気候の高解像度(約200年ごとの)記録が2カ所で発表され、間氷期の後半に千年スケールの気候変化が多数見つかりました。

 

 しかし、それがグローバルな現象なのか、真の気候現象なのかさえも分かっていませんでした。

 

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 同時代の地層としては、堆積速度が世界最速級の千葉県上総層群のボーリングコアから、世界に例のない10年という高解像度の古海洋環境記録を取得しました。

 

 そして、大阪湾、北大西洋の記録と合わせて、3地域で同時に起こる急激な温暖化と寒冷化を多数発見しました。

 

 中でも地磁気逆転直後に起こる約200年の周期性を伴う急激な温暖化が4周期目に突然の大寒冷イベントで終わる現象はユニークです。

 

 その寒冷イベントは、氷山が北大西洋の中緯度域まで到達する大氷山流出イベントと同時に起こっていることから、融氷水が北大西洋表面を覆ったことが原因であると思われます。
 

 この周期性を伴う温暖化と急激な寒冷化は地磁気逆転直後に2度繰り返し、その約1万年後にもう1度繰り返しました。

 

 いずれも地磁気強度は元の強さに回復した後です。

 

 この研究では、同間氷期の後半が、数mの海水準変動を伴う氷床の拡大縮小を500年~2000年間隔でくり返す激しい気候変化の時代だったことも明らかにしました。
 

 急激な温暖化が突然の大寒波で終了する現象は同間氷期の最温暖期と2番目の温暖期の極めて短期間にだけ起こっています。

 

 この約200年の周期は太陽活動のde Vries Cycle(205年)である可能性が高く、その現象が起こった期間の気候は太陽活動に敏感だったことになります。

 

 太陽活動の気候への影響は、日射量だけでなく、銀河宇宙線を介した雲量変化がもたらす日傘効果によっても起こります。

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 急激な温暖化の後に、2度ほど、急激な寒冷化があったようでして、そうなると、多くの大型生物は対応が出来ずに、絶滅する可能性があります。

 

 人間の場合は、その英知をもって、なんとかやっていくとは思いますが、食料の確保は、なかなか難しそうな気はします。

 

 因みに、寒冷化の引き金になった地磁気の逆転(北極と南極が入れ替わる)は、既に進み始めていて、早ければ、30年後ぐらいから影響がでるらしいので、今のうちから、準備しておいた方がいいかもしれません。