エイジレスの331回 肥満に影響する遺伝マーカー

 

 

 肥満は、さまざまな病気の発症リスク因子であり、肥満の予防は健康増進に大きな役割を果たします。

 

 一人一人の体重は遺伝要因と環境要因が複雑に絡み合って決まりますが、過去の双生児を用いた研究成果から、体重の個人差の原因の4割から6割程度は、遺伝要因によると考えられています。

 これまでに、世界では、最大約34万人を対象としたゲノムワイド関連解析(GWAS)が行われ、体重に影響すると考えられる100程度のゲノム上の感受性領域が同定されました。

 

 しかし、過去の大規模な研究は欧米人が主な対象でした。

 

 で、今回、日本人16万人を対象にした研究の結果が発表されましたので、ご紹介します。

-------------------------------------------------

 肥満は、さまざまな病気の発症リスク因子であり、その原因は食べすぎや運動不足だけではなく、遺伝的な影響も大きいことが知られています。

 

 しかし、遺伝要因が体重の個人差をもたらす生物学的なメカニズムについては、十分に解明されていません。

 今回、共同研究グループはバイオバンク・ジャパンに参加した日本人約16万人の遺伝情報を用いてGWASを実施し、さらに欧米人約32万人で行われたGWASとのメタ解析を行うことにより、体重に影響すると考えられる193のゲノム上の感受性領域を同定しました。

 

 このうち、112領域は初めて同定されたものです。

 

 また、組織特異的なエピゲノム情報とGWASの統合解析により、過去に報告されていた脳の細胞に加えて、免疫細胞のリンパ球が体重調節において主要な役割を果たすことを示す複数の遺伝学的な証拠を見いだしました。

 

 さらに、GWASの結果を用いて、33の病気と体重の遺伝的な関わりを評価したところ、2型糖尿病や心血管病などの生活習慣病だけでなく、精神疾患、免疫・アレルギー疾患、骨関節疾患における遺伝要因と体重の個人差に関わる遺伝的因子との間に共通性があることを見いだしました。

 本研究は、体重の個人差に影響する遺伝要因について、遺伝学的な知見だけでなく、体重と病気との関わりや、生物学的に関連する組織や細胞型など広範な視点から新しい知見を提供するものです。

 

 今後、体重に関わる幅広い科学分野での研究の発展に寄与するものと期待できます。

-------------------------------------------------

 

 さまざまな病気について、体重との遺伝的関係がわかったとのことです。

 

 今のところは、直ぐにダイエットにつながる話ではありませんが、少なくとも、肥満は遺伝し、そのために、子孫も肥満に関わる病気になりやすいことは確実な話ですので、日ごろから、心がける理由にはなります。

 

 関係がありそうな方は、早めに対処された方が宜しいかと思います。