エイジレスの330回 洗濯可能な太陽電池

 

 

 太陽光発電と言えば、原発や火力発電所などに比べて、遥かに簡単な設備で発電できます。

 

 最小レベルで言えば、電卓などでも利用できるぐらい小さな発電設備です。

 

 但し、イマイチ使い勝手が良くないようで、あまり用途が拡大しません。

 

 今回は、発電効率が良くなったうえに、柔軟性があって、洗濯までできる防水性も持っている画期的な太陽電池のお話です。

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 研究グループは、洗濯も可能な伸縮性と耐水性を持つ、超薄型有機太陽電池[1]の開発に成功しました。

 衣服に貼り付けることができる太陽電池は、生体継続モニタリングに向けたウェアラブルセンサーなどを駆動するための電源として重要な役割を果たします。

 

 このような太陽電池の実現には、

 

①高い環境安定性、②高いエネルギー変換効率(太陽光エネルギーを電力に変換する効率)、③機械的柔軟性、

 

の三つの要素を同時に満たす必要があります。

 

 しかし、従来の有機太陽電池ではこれらを同時に満たすことは困難でした。

 今回、共同研究チームは、超柔軟で極薄の有機太陽電池を作製し、大気中・水中の保管でも劣化なく動作させることに成功しました。

 

 この超柔軟な有機太陽電池は、厚さわずか1マイクロメートル(1μm、1,000分の1mm)の基板フィルムと封止膜を利用しており、曲げたり、つぶしたりしても動作します。

 

 このように超薄型でありながら、高いエネルギー変換効率と同時に高い耐水性を両立させることに成功しました。

 

 開発の決め手となったのは、高い環境安定性と高いエネルギー変換効率を両立した有機半導体ポリマーを極薄の高分子基板上に形成する技術です。

 

 さらに、超薄型有機太陽電池をあらかじめ引張させたゴムによって双方向から挟むことで、伸縮性を保持しながら耐水性が劇的に向上する封止を実現しました。

 

 120分間の水中浸漬でもエネルギー変換効率の低下は5%程度であり、また水滴をデバイス上へ滴下・一定時間保持しつつ約50%の伸縮を繰り返し行った際にも、エネルギー変換効率は初期の80%を保ちました。

 本成果は、ウェアラブルデバイスやe-テキスタイル繊維に向けた長期安定電源応用の未来に大きく貢献すると期待できます。

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 病気の早期診断に欠かせないのが、日々の健康チェックで、生体継続モニタリングに向けたウェアラブルセンサーの開発が進んでいます。

 

 今では、血管障害やがんの早期発見のような重篤な病気の診断にまで研究対象が広がっています。

 

 が、ウェアラブルセンサーを24時間使えるようにするには、環境エネルギー電源として衣服に貼り付け可能な電源が重要です。

 

 今回の研究は、次世代予防医学につながるお話ですので、今すぐに役に立たないとはいっても、近い将来的には多くの方が恩恵をこうむるお話です。

 

 取りあえず、気に留めていても良さそうなお話です。