エイジレスの329回 細胞のうるおいを測る装置

 

 

 最近では、スマホで、お肌の潤いや油分を図る装置が発売されていて、実に簡単に、自分で、お肌の健康チェックができる時代となりました。

 

 で、今回のお話は、もっと細胞レベルのお話で、幹細胞分化や細胞のがん化などを対象とする細胞の健康チェックのお話です。

 

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 共同研究チームは、細胞を壊さずに細胞の「濡れ性」を評価する新たな装置を開発しました。

 近年、培養細胞などを使って、機能不全に陥った組織や臓器の機能回復を図る再生医療が注目を集めています。

 

 この培養細胞が対象の組織や臓器と同等の機能を持っているかを評価するには、これまで細胞から遺伝子やタンパク質などのターゲットとなる物質を検出し、対象と同量含まれているかを調べていました。

 

 しかし、このような細胞の機能評価では多くの場合、細胞内部の物質を得るために細胞を壊したり、特殊な試薬を反応させたりすることが常識でした。

 

 一方で、培養細胞を壊さずそのままの状態で機能評価できれば、高機能な培養細胞を選び取って治療に使うことが可能になります。

 今回、共同研究チームは、細胞の物性が細胞表面にある物質によって異なることを利用して、培養細胞の機能評価ができると考え、「濡れ性」という物性に着目しました。

 

 濡れ性とは、物質表面に対する液体の親和性(なじみやすさ)を表すものです。

 

 従来の濡れ性評価法では細胞の濡れ性は調べられないため、培養皿底面の培養細胞を覆っている培養液に空気を噴射した際の液体除去領域の大きさによる評価法を考案しました。

 

 そして、半導体製造工場などで使われるパーティクルフィルタ[1]を利用してクリーンエアを噴射する「非接触濡れ性評価システム」を開発しました。

 

 実際に、このシステムでマウス骨格筋芽細胞株の培養細胞を調べたところ、濡れ性の評価が可能であり、かつ物理的な破壊や糖代謝の変化、細胞膜傷害が起こらないことを確認しました。

 今後は、濡れ性による培養細胞の機能評価を進め、細胞表面のタンパク質発現が変化することが知られているiPS細胞(人工多能性幹細胞)や、ES細胞(胚性幹細胞)といった幹細胞分化や細胞のがん化などを対象とする予定です。

 

 また、広く一般材料においても、これまで評価が困難であった、もともと濡れた状態での濡れ性評価に取り組む予定です。

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 ちょっと難しいお話ですが、再生医療に必要な細胞の培養をする時に、増殖した細胞の健康チェックが簡単にできる装置を作ったみたいなお話です。

 

 これまでは、折角、増殖した細胞を壊さないと、検査できなかったのが、壊さずに、検査できるので、効率的になるようです。

 

 すぐには、皆様のお役に立てるわけではありませんが、再生医療は、日々、進化していますので、頑張って長生きしていてください。