エイジレスの328回 コルクを抜くと湯気のように立ち上る霧

 

 

 今回は、興味のない方には、全く役に立たない研究成果です。

 

 シャンパンボトルのコルクを抜くと、立ち上る霧の研究のお話です。

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 シャンパンボトルのコルクが抜けると、ボトルの首の部分から噴出するガス混合物が断熱膨張(気体が熱の出入りなしに体積を増大させて温度が低下する現象)を起こし、

 

その結果として隣接する空気が冷却され、周囲の空気中に含まれる水蒸気が凝縮して特有の灰白色の霧が生じる。

 

 しかし、この過程が、これまで考えられていた以上に複雑なものである可能性が生まれている。


 今回、Gerard Liger-Belairたちの研究グループは、異なる温度(6℃、12℃、20℃)で保存されたシャンペンの透明ボトルからコルクが抜ける様子とボトルの首の部分での凝縮過程を高速撮像した。

 

 この凝縮過程によって灰白色の霧が生じるのだが、この過程でボトルの温度が1つの役割を果たしていることが分かった。

 

 20℃で保存されたボトルの場合に、特有の霧ではなく、ボトルの首の内部で発生した青いプルームが見られ、霧の場合よりも短い時間で消えてしまったのだ。

 

 Liger-Belairたちは、全ての保存温度で、ボトルからコルクが抜けてガス混合物が断熱膨張した後、ボトルの首の部分に氷水の塊が生じるが、ボトルの温度が高くなると、氷水の塊と接触した気相の二酸化炭素が凍結し、20℃のボトルで観察されたような青いもやが生じるという仮説を示している。

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 シャンパンのコルクを開けた時の霧の動きがわかっても、何の役にもたたないと思いますが、話のネタとして使える方はおられるかもしれません。

 

 因みに、霧を発生させる物理学的仕組みは、「断熱膨張」という現象です。

 

 断熱膨張とは、熱力学で、気体が外部との熱のやりとりなしに膨張する現象です。

 

 断熱変化の一つで、断熱膨張が起きると、気体は外部に仕事をして温度が下がります。

 

 身近なところでは、冷房機器や冷蔵庫などに応用されています。

 

 こういったお話に興味があるお子さんがおられましたら、理科の実験として、断熱膨張を観察することができるので、シャンパンの霧も役に立つかもしれません。