エイジレスの325回 ネギ萎凋病(いちょうびょう) の抵抗性に関与する遺伝子
萎凋病(いちょうびょう)は、西南暖地のネギ産地に深刻な被害を及ぼす難防除病害です。
抵抗性の品種がなく、現在は薬剤防除に頼っています。
一方で、ネギの近縁種には香辛野菜として知られるシャロットがあり、最近、シャロットが萎凋抵抗性を有することがわかりました。
シャロットはネギと交雑できるため、ネギに萎凋病抵抗性を付与する研究が進んでいます。
今回のお話は、萎凋抵抗性に関する遺伝子がわかったとの話です。
-------------------------------------------------
【発表のポイント】
ネギ萎凋病は、近年、西日本の葉ネギ生産地に深刻な被害を及ぼしている難防除病害である。
特に、夏季高温時に発生が増加し、施設栽培において土壌が乾燥状態となる時に発生が多くなる。
感受性のネギと抵抗性のシャロットの掛け合わせから得られた単一異種染色体添加系統シリーズ(以下、添加系統シリーズ)を用い、抗菌成分として知られるサポニン類の生合成経路中の遺伝子発現を網羅的に比較解析した結果、萎凋病抵抗性に関与する遺伝子群を特定した。
本研究成果は、国内初の萎凋病抵抗性品種の育成に貢献することが期待され、抵抗性ネギ品種が育成されると、現在行われている殺菌剤の使用回数を減らすことができ、国産ネギの生産コストと生産労力を劇的に削減できる可能性がある。
-------------------------------------------------
病気に弱いために、農薬を使わざるを得ない「ネギ」ですが、生に近い状態で食べることが多い野菜ですので、今回の研究は、個人的に、興味のある話でしたので、取り上げました。
近年は、無農薬、低農薬栽培の野菜の開発が進んでいますが、益々の進展を期待しています。