エイジレスの323回 血球貪食の発症メカニズムを解明!

 

 

 私たちの体の中で死んだ細胞は,マクロファージという免疫細胞に貪食され除去されます。


 通常、マクロファージは死んだ細胞のみを貪食し,生きている細胞を貪食することはありません。

 

 ところが,血球貪食症候群を発症すると,過度の炎症性刺激によりマクロファージが暴走し,赤血球,血小板,リンパ球,骨髄細胞などの自己血球を生きたまま貪食するようになります。

 

 この疾患は治療が難しく,重篤な経過をたどります。

 

 血球貪食症候群は,遺伝的要因で生じる一次性疾患とさまざまな病態に付随する炎症によって生じる二次性疾患が知られています。

 

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(前略)

 

 その結果,インターフェロン-ガンマ,細菌の DNA,抗インターロイキン-10 受容体抗体の三種混合刺激によって,マクロファージの細胞表面にさまざまな受容体分子の発現が誘導され,生きた血球の貪食を引き起こすことを見いだしました。

 

 中でも,ICAM1 や VCAM1 などの接着分子の発現によって,リンパ球や骨髄細胞がマクロファージにつなぎ止められ,血球貪食が引き起こされることが明らかとなりました。

 

 さらに,血球がマクロファージに取り込まれるためには,Rac1 低分子量 G タンパク質の活性化が必須であることを見いだしました。

 

 この機序は,重篤な炎症性疾患の病態のみならず,血球の発生や選別機構,炎症の収束機構などにおいても重要である可能性があります。

 

 本研究を発展させることにより,その生理的意義の解明につながることが期待されます。

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 血球貪食は、血球を食べてしまうので、赤血球、白血球、血小板が激減します。

 

 特に血小板の減少があまり激しいと、治療するまもなく重篤な出血(脳出血、消化管出血など)をひきおこし命を落とす恐ろしい病気です。

 

 この病気は、医学の発展によってわかってきた病気で、治療法の開発は、これからという段階のようです。

 

 健常者が突然発症して、死に至ることもある病気なのですが、原因がわからないため、予防法も確立されていません。

 

 今のところは、神様にお願いするしかないかもしれません。