エイジレスの316回 色素沈着を活発にして黒色腫を防ぐ

 

 

 悪性黒色腫は皮膚がんの1つで、単に黒色腫またはメラノーマと呼ばれることもあります。

 

 皮膚の色と関係するメラニン色素を産生する皮膚の細胞で、表皮の基底層に分布しているメラノサイト、あるいは母斑細胞(ぼはんさいぼう:ほくろの細胞)が悪性化した腫瘍と考えられています。

 

 悪性黒色腫の発生には、遺伝的背景と環境因子の双方が重要な役割を果たしています。

 

 白色人種の発生率が有色人種よりも数倍高く、紫外線の強い地域に住む白色人種の発生率がさらに高いという報告もあり、紫外線が関係している可能性があります。

 日本人では、悪性黒色腫の大半が紫外線の影響を直接受けない部位(肢端部)に発生し、紫外線の関与は少ないと考えられます。

 

 しかしながら、過度な日焼けは避けたほうが無難であると思われます。

 

 また、サンスクリーン剤で紫外線を防御することで、紫外線を直接浴びる部位の悪性黒色腫の発生率が減少する傾向が報告されています。

 

 今回のお話は、悪性黒色腫を予防する有力な方法になるかもしれないというお話です。

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 メラノコルチン1受容体(MC1R)は、ヒトとマウスの皮膚の色素沈着に重要な役割を担っていることが知られている。

 

 一方、MC1RのRHCバリアントを持つ人、例えば、赤毛の髪の人、色白の人、日焼けしにくい人は、色素沈着を誘導する能力が低いため、黒色腫を発症するリスクが高い。

 今回、Rutao Cuiたちの研究グループは、いくつかの低分子のスクリーニングを行って、パルミチン酸によってMC1RのRHCバリアントの活性が変化することを明らかにした。

 

 そして、培養細胞を用いた一連の実験では、MC1Rに対するタンパク質のパルミトイル化(パルミチン酸の付加)がMC1Rシグナル伝達の活性化に必須で、このシグナル伝達が究極的に色素沈着を増加させることが明らかになった。

 

 また、Cuiたちは、MC1RのRHCバリアントを有するマウスの場合に、パルミトイル化の促進によってMC1RのRHCバリアントの異常が救済され、色素沈着が増加し、黒色腫の発症が防止されることも報告している。

 

 Cuiたちは、タンパク質-アシルトランスフェラーゼZDHHC13の発現増加を誘導し、または脱パルミトイル化を阻害してMC1Rのパルミトイル化を回復させることが、将来的な黒色腫予防の臨床的戦略候補の基盤となる可能性があるという考えを示している。

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 ちょっと難しい説明でしたが、要は、皮膚の色素沈着を増やした方が皮膚がんになりにくいということです。

 

 女性の場合は、日焼けや色素沈着を嫌がる方も少なくありませんが、多少は、必要かもしれないということです。

 

 だからと言って、日(紫外線)を浴びすぎるのも、老化も進むし、逆に皮膚がんになりやすので、何事も適度がいいということです。

 

 骨粗しょう症予防のために、1日15分程度の日光浴が望ましいとされていますので、1日中、家におられる方でも、意識して、太陽の光を浴びられることをお勧めします。