エイジレスの315回 空を使って温度を下げる受動冷却

 

 

 刻一刻と進む地球温暖化は、気象の激甚化をもたらし、世界中で深刻な災害を引き起こしています。

 

 皮肉なことに、地球温暖化対策に消極的なトランプ大統領のおひざ元でも、大災害が発生しました。

 

 今回のお話は、エネルギー消費の大きい空調機器のエコ技術のお話です。

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 空調は、建築物のエネルギー消費のかなりの割合を占めている。

 

 典型的な空調システムは、凝縮器を使って循環する空気を冷却するため、電力を消費し局所環境を暖める。

 

 空調システムのエネルギー使用量を減らす方法が見つかれば、コストや温室効果ガス排出量が削減され、局所的な微気候に対する建築物の影響が小さくなる可能性がある。

 今回、E Goldstein、A Raman、S Fanは、排熱して冷却を行うのに空を使い、循環装置以外にエネルギーを必要としない代替システムを開発した。

 

 このシステムは、特別に設計され、放射冷却と呼ばれる機構を通して赤外光を大気や宇宙空間に直接放射するパネルを用いている。

 

 著者たちは、カリフォルニア州スタンフォードにおいて屋上に設置したこのパネルに流体(今回は水)をポンプで通し、放射冷却を利用して3~5℃冷却できることを見いだした。

 

 次に彼らは、典型的な空調システムに組み込んだ場合のこのパネルの挙動をモデル化した。

 

 その結果、ラスベガスの2階建ての商業建築物にある蒸気圧縮を用いた空調システムの凝縮器から熱を除去するのにこのパネルを使えば、典型的な年の5月から8月の冷房に必要な電力が21%削減されることが示された。

 

 商業的可能性を見極め、この技術を最適化するには、さらに試験を行う必要がある。

 関連するNews & ViewsでG SmithとA Gentleは、「空にある2つのヒートシンクは、冷却効率を高めるのに非常に魅力的で、Goldsteinたちの実証結果を受けて、それが今回利用できるようになり始めた」と述べている。

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 放射冷却(ほうしゃれいきゃく)とは、高温の物体が周囲に電磁波を放射し温度が下がる現象です。

 

 日本では、気象の言葉として有名です。

 

 通常、熱は、伝熱や対流などによって移動していきますが、放射冷却は、熱エネルギーを電磁波として放出するところに特徴があります。

 

 今回のお話は、放射冷却という現象を利用した放熱パネルを開発して実験したら、21%もエネルギーが節約できたということです。

 

 空調は、電気エネルギー消費の4割を占めているとも言われていますので、21%削減というのは、かなり大きな数字です。

 

 地球温暖化対策の一翼を担ってもらいたい技術です。