エイジレスの314回 ネアンデルタール人によるタール製造

 

 

 ネアンデルタール人は、今から2万数千年ほど前に絶滅したヒトに近いホモ・サピエンスの一亜種であるホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシスという人類(?)です。

 

 今回のお話は、絶滅にさかのぼること、20万年も前にタールを製造していたというお話です

 

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 柄付け(骨や石に柄をつけて武器や道具を作り出す作業)に用いられる接着剤の製造と使用が、ネアンデルタール人と初期現生人類の認知能力と技術力に関する論争の焦点になっている。

 

 接着剤は、現在知られているものの中で最初期の変革技術の1つであり、タールの製造には、少なくとも20万年の歴史がある。

 

 しかし、更新世(約258万8000年前から1万1700年前まで)に陶器を使わずにタールがどのように製造されたのかは明らかになっていない。

 

 これまでにも無陶器技術又は旧石器時代の技術を用いてタールを製造する実験的な試みがあったが、道具の柄付けを効果的に行うにはタールの収量が少なすぎた。

 今回、Paul Kozowykたちの研究グループは、旧石器時代のものと考えられる技術の数種類のバリエーションを用いて、カバノキの樹皮の乾留によってタールを製造する試験を行った。

 

 その結果、ネアンデルタール人が生きていた時代に適合した無陶器技術によってタールを製造することができ、樹皮のロールを熱い灰の中に入れる方法によって小型の道具の柄付けに十分な量のタールが得られることが明らかになった。

 

 そして、この製造プロセスを数回繰り返すことで考古学的記録に示される収量を達成できると考えられている。

 

 Kozowykたちは、タール製造の進化過程を示し、製造プロセスの改良によってタールの収量効率が高まったという仮説を提示している。

 

 この仮説は、中期旧石器時代のネアンデルタール人が利用できた技術と資源とも矛盾しない。

 今後も研究を続けてタール塊の組成と性質を調べることは、タール技術の開発史を詳しく解明する上で役立つ可能性がある。

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 木タールを水で薄めてタール・ウォーターとしても利用でき、多くの用途があるようです。

 

・キャンディやアルコール飲料の風味付けとして
・肉料理のような食べ物のスパイスとして
・サウナ用の香りとして(蒸気になって室内に放出される水に用いる)
・シャンプーのフケ防止剤として
化粧品の材料として

 

 20万年も前に、タールを利用していたネアンデルタール人は、私たちが思っているより遥かに文化的だったかもしれません。