エイジレスの305回 心房細動の遺伝的リスク
心房細動は、心房が1分間に450~600回の頻度で不規則に興奮し、その興奮波が 房室結節(ぼうしつけっせつ)へ無秩序に伝わるために、心室興奮は確実に不規則になる不整脈です。
何らかの原因で心房細動が生じても原因を除去すると心房細動にならない 一過性心房細動、
自然に止まって反復する発作性心房細動、電気ショックあるいは抗不整脈薬で元の 洞調律どうちょうりつにもどる持続性心房細動、
電気ショックや抗不整脈薬で洞調律にもどらない永続性心房細動とに分けられます。
持続性心房細動の一部と永続性心房細動を合わせて慢性心房細動といいます。
命に係わる病気ですので、回避したい病気ですが、遺伝も影響しているとのことです。
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心房細動は日常診療で最も頻繁に認める不整脈の一つであり、登録患者数は 70 万人、その総数は約 150万人にも上ると推定されています。
また、重大な合併症である脳梗塞の約1/3はこの心房細動由来であることが示されています。
年間約8万人がこの不整脈のために脳梗塞を経験するとされ、寝たきり老人の原因の一つです。
その発症原因として、心臓の器質的な疾患や高血圧、飲酒などの環境的な要因について指摘されています。
近年では大規模なゲノムワイド関連研究(GWAS)(*4)を通して、遺伝子が発症リスクであることも知られていました。
【ポイント】
・ 心房細動は日本において 150万人の患者が存在すると推定されており、脳梗塞の原因の 1/3がこの不整脈由来であるといわれています。
・ 心房細動の原因となる異所性興奮は肺静脈起源のものが大半とされていますが、日本人では上大静脈起源のものも多く報告されており、治療上考慮すべき重要なポイントです。
・ 3 施設の大規模なメタ解析により上大静脈起源心房細動の臨床上の特徴や遺伝因子が特定されました。
・ 上大静脈における異所性興奮発生のメカニズムの解明やカテーテル・アブレーション治療におけるストラテジーの決定などへの活用が期待されます。
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患者さんが、150万人もいる病気なので、研究は進んでいるようなのですが、遺伝子については、今回、初めて解明されたようです。
治療に応用されるようになるには、まだまだ時間はかかると思いますが、将来のリスクを若いうちからわかるようになるかもしれません。