エイジレスの301回 がん免疫抗原 硫酸化グリコサミノグリカン
副作用の少ないがん治療法として、ガン免疫療法の開発が急ピッチで進んでいます。
今回のお話は、最新の研究報告です。
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胃がんはわが国におけるもっとも高頻度な悪性腫瘍の 1 つで、多くの方が罹患し年間約 5 万人の方が亡くな っています。
近年、がん免疫療法への注目が高まっていますが効果が得られるのは一部の症例のみであり、 特に現行のがん免疫療法に抵抗性であると予想されるびまん型胃癌(スキルス胃癌)についてはがん 免疫システムの全体像の解明が求められていました。
多くの症例のがん組織中では特定の B リンパ球が増えていることを見いだし、それらの B リンパ球が作り出す抗体が糖鎖の一つである硫酸化グリコサミノグリカンを認識していることをつきとめ
ました。
これにより、硫酸化グリコサミノグリカンが、胃がん組織における主要ながん免疫抗原であることが初めて示されました。
また、このような免疫ゲノム解析によって得られたがん特異的に反応するBリンパ球のDNA シーケンス情報をもとにヒト抗体を作成したところ、様々ながん細胞に結合し抗腫瘍活性を持つことを見いだしました。
この研究では、がん免疫を担うリンパ球の組成の全体像を最新の免疫ゲノム解析技術を用いて明らかにしました。
そのなかで、硫酸化グリコサミノグリカンという糖鎖ががん免疫の主要な抗原であることを見いだしたことは、今後のがん免疫療法の最適化や、がんワクチンの開発につながる重要な成果と考えられます。
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ガン免疫抗原が見つかった上に、リンパ球の組成も明らかにしたということですので、かなり、具体的に治療につながりそうな研究成果です。
胃がんは、患者さんも多く、待っている方もたくさんおられるので、早めの実用化が待たれるところです。