エイジレスの299回 ウイスキーを水で希釈すると味わいが増す仕組み
ウイスキーファンの方は、必見です。
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ウイスキーの味わいは、主として両親媒性分子(親水基と疎水基の両方を持つ分子)、例えばグアイアコールが関係している。
ウイスキーは、瓶詰めされる前に水が添加されてアルコール含有量が約40%になるまで希釈されるが、この希釈によってウイスキーの味わいは著しく変化する。
ウイスキーの愛好家は、こうしたウイスキーを飲む前に数滴の水を加えて味わいをさらに際立たせることが多いが、水による希釈で味わいが増す仕組みと理由は明らかになっていない。
今回、Bjorn KarlssonとRan Friedmanは、グアイアコールを含む水-エタノール混合物のコンピューターシミュレーションを行って、グアイアコールの相互作用を調べた。
その結果、グアイアコールが、エタノールと選択的に結合し、エタノール含有量が45%に達するまでは混合物のほぼ全体ではなく気液界面に存在している可能性の高いことが分かった。
従って、グラスに注がれたウイスキーに含まれるグアイアコールはウイスキーの表面近くに集まり、ウイスキーの香りと味わいに寄与しているとKarlssonたちは考えている。
また、アルコール含有量が59%を超えるとエタノールとグアイアコールの相互作用が増強されたことが確認されたが、このことはグアイアコール分子が混合物の表面から離れて混合物のほぼ全体に分布するようになることを意味する。
以上の新知見は、ウイスキーが瓶詰めされる前に希釈されることでウイスキーに含まれるグアイアコールとそれに類似した化合物の味わいが増し、グラスに注がれたウイスキーをさらに希釈すると味わいが際立つ可能性のあることを示唆している。
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グアイアコール とは、有機化合物の一種で、ポリフェノールで有名なフェノール類の物質です。
虫歯の治療時には歯髄神経の麻痺・消毒に用いられるほか、正露丸の主剤である日局クレオソートに多く含まれています。
グアイアコールは、殺菌力の強い物質なので、高濃度だと危険性もある物資ですが、低濃度だと、ウイスキーの味わいを際立たせる効果があるようです。
アルコール濃度が高いとアルコールにくっついているようですが、水で希釈すると、アルコールと分離して、全体的に良く混ざって、美味しくなるようです。
どの程度、希釈すると良いのかは書いていませんので、お好みの濃度を見つけてください。