エイジレスの288回 幼児の眠りに特化したアプリ
幼児の睡眠時間が、脳の発達に極めて大きな影響を与えることが知られていますが、日本においては、子どもの睡眠時間は、非常に短いそうです。
とは言っても、目に見えて、悪いとか、困ったとかといったことが起きないため、問題意識さえないのが普通です。
しかし、多くの親御さんは、子供の健全な発育には気を使っていると思います。
そんな睡眠時間に関する問題をスマホアプリで解決しようとの取り組みが報告されましたので、ご紹介します。
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谷池教授の研究グループは、大阪大学医学部附属病院で医師・心理士のチームによる専門性の高い小児睡眠臨床・研究を行い、学外の専門家とともに睡眠啓発活動をリードしてきました。
日本では睡眠時間を削って勉強する・働くといった、眠りを軽視する傾向があります。
なかでも乳児から高校生まで、子どもの睡眠時間の短さは世界に類を見ないほどです(Mindell et al., Sleep Med、2010)。
しかしながら、幼少期の眠りは発達に大変重要であること、例えば、睡眠不足は、注意欠如・多動症の危険因子であるということがわかってきました(Touchette et al., Sleep 2008)。
子どもの眠りに関する問題は潜在的に40~50%にのぼると言われますが、専門家に相談する程の深刻な問題と捉えられることはなく、放置されています。
一方で、子どもの睡眠リズムの乱れが保護者の不眠、疲労を倍増させていても相談する場所・時間は限られています。
さらに、共働き家庭や核家族の増加など生活スタイルの変化により、保護者の生活習慣を変える余裕は少なくなっており、保護者の視点に立ったスモールステップでのアドバイスや励ましが必要となります。
谷池教授の研究グループは、臨床で蓄積したノウハウを生かすことにより、睡眠習慣の改善を目指すアプリを開発しました。
家庭において保護者がスマホを用いてスモールステップでのアドバイスを繰り返し受けることにより、子どもの眠りの習慣が改善されることが見込めます。
早寝早起き・十分な睡眠時間の確保などにより、機嫌よく過ごしやすくなると、保護者の育児ストレスは軽減し、子どもの健やかな発達がサポートされます。
それに伴い、子どもの多動・衝動性の発現が抑制され、生まれ持った潜在能力を十分に発揮する大人になることが期待できます。
なお、本アプリでは、現状では研究段階であり指導はマニュアルで行っていますが、将来的に、機械学習を採用することにより、多人数に同時に対応することが可能となり、自治体での睡眠啓発・指導に多大な力を発揮することが期待されます。
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残念ながら、研究段階のため、すぐに活用できるわけではありませんが、実用化は近いと思いますので、気になる方は、チェックしておいた方が良さそうです。
とりあえずは、無理矢理にでも、子供に十分な睡眠を取らせつつ、お待ち下さい。