エイジレスの285回 “切らない組織診断”でリアルタイムにがんを診断
現在、がんの診断を行う際には、がんが疑われる部位から組織片を採取し(=いわゆる「生検」や「手術」)、ホルマリンなどの薬品で組織片に化学処理を行い(=固定)、薄く切ってガラスに貼りつけ(=薄切)、色付けをしてから(=染色)ガラス標本を作製し、顕微鏡で観察して最終診断を行っています。
この従来の方法は、組織を採取するため人体を傷つける侵襲的処置にあたり、稀ではありますが患者さんに不利益となる合併症が生じる可能性があることが課題です。
また採取した組織片からガラス標本を作製するまでに多くの処理工程が必要なため、実際に患者さんが検査を受けてから診断できるまでに時間がかかることも課題となっています。
そこで、これらの問題を解決すべく、生きた組織のまま、切らないで組織診断する方法を開発したとのことです。
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最新の生体可視化システムである多光子励起イメージング技術を用いることにより、固定、染色など従来の処理工程を行うことなく、生きた組織のまま迅速にヒト大腸組織の深部が観察できる方法を開発することに成功しました。
この方法を用いることにより、正常の大腸組織や大腸がんの組織を、従来の診断方法よりも低侵襲的、迅速、そして定量的に診断することが可能となります。
今後、今回用いた技術を内視鏡などの医療機器へ応用することによって、患者さんの負担が少なく、迅速ながん診断が行えると考えられ、また早期がんの診断や内視鏡治療の分野などにも今回の開発手法が精度向上に大きく貢献することが期待されます。
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CTとか、MRIなど、検査機器が発達してきたとはいえ、未だに、組織を切り取って病理検査しないと、ガンかどうか確定できないケースが多々あるようでして、組織を取るとなると、おなかを切らないまでも、患部を切除しないといけないので、患者さんにとっては、結構負担が大きいようです。
今回の技術は、患者さんの負担が減るだけでなくて、見逃しやすい病巣も見つけやすくなるという点においても、素晴らしい発明です。
早く実用化されることを願うのみです。