エイジレスの284回 夜間の人工光が送粉に悪影響を及ぼす

 

 

 送粉(そうふん)とは、植物の花粉を運んで受粉させ(送粉)、花粉の雄性配偶子と花の胚珠を受精させることを言います。

 

 で、送粉をしてくれる者を送粉者といいます。主に、昆虫さんたちが多いようです。

 

 今回のお話は、都市開発などによって、農業に影響が出るほど、送粉者に影響を与えているというお話です。

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 夜間の人工光は、全世界で普及しつつあり、増加率が年6%と推定されているが、さまざまな生物の生理や行動に悪影響を及ぼすことが明らかになっている。

 

 ところが、送粉者コミュニティーなど複数のコミュニティーと送粉に対する影響は明確になっていない。

 今回、Eva Knopたちの研究グループは、それぞれ独立した人里の草地(かく乱を受けた土地区画)14か所で実験を行い、そのうちの7区画で移動式街路灯を使って夜間人工照明を行った。

 

 この実験では、それぞれの区画で植物と送粉者の相互作用の観察が行われ、夜間照明を実施した区画で送粉者が植物を訪問する回数が62%減少した。

 

 また、実験における送粉者の訪問回数が、日中に活動する送粉者の訪問回数とほぼ同じだったにもかかわらず、夜間照明された区画で形成したアザミゴボウ(Cirsium oleraceum)の果実の数は対照区画より13%少なかった

 Knopたちは、夜行性の送粉者が提供する送粉サービスが街路灯の付近で阻害され、その結果として、植物の果実形成率が減っているが、それが日中に活動する送粉者のサービスによって相殺されていない、と結論づけている。

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 世界的には、人口爆発によって、食料が不足する事態が発生していますが、皮肉にも、人が増えることで、人口の光が増えて、そのせいで、夜行性の送粉者が影響を受けて、結果的に、農産物の減産につながるとのことです。

 

 都市が発展するのは良いことなのでしょうが、そのせいで、犠牲になることもあるようです。

 知らないだけで、もっと色んなことが起きているのだと想像されます。