エイジレスの283回 ジカウイルスの接触感染リスク
ジカウイルスは、デングウイルスと同じフラビウイルス科フラビウイルス属のウイルスですが、デング熱ほどは、強くないウイルスです。
但し、妊娠中にジカウイルス感染すると、胎児に小頭症等の先天性障害を来すことがあります。
ジカウイルス感染症はデング熱及びチクングニア熱と同様、蚊を介して感染します。また、ジカウイルス感染症は感染しても症状がないか、症状が軽いため気付きにくいこともあります。
海外の流行地域において、蚊に刺されてから数日後に、軽度の発熱、発疹、結膜炎、関節痛、筋肉痛、倦怠感、頭痛等の症状が見られた場合は、医療機関を受診してください。(と、厚労省が注意を呼び掛けています)
海外の流行地域へ出かける際は、できるだけ肌を露出せず、虫よけ剤を使用するなど、蚊に刺されないよう注意してくださいとのことです。
今回は、そんなジカウイルスのお話です。
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ジカウイルスの主な感染経路は、蚊と性的接触であるが、その他に性的接触によらないヒトからヒトへの院内感染が少なくとも1例ある。
ジカウイルスは、唾液、涙、汗、母乳など数々の体液から検出されている。非感染者への感染を引き起こした感染性ジカウイルスの発生源と感染経路は解明されていない。
今回、Thomas Friedrichたちの研究グループは、非ヒト霊長類における唾液によるジカウイルスの感染リスクを推定した。この研究では、非ヒト霊長類の扁桃腺に高用量投与されたジカウイルスの感染が拡大したことが明らかになった。
この場合の血中ウイルス量と尿中ウイルス量は、ジカウイルスを皮下注射した後のウイルス量に近く、経口経路によるジカウイルスの感染が起こりうることが示唆された。
しかし、この研究では、感染動物の唾液を非感染動物の眼、鼻または扁桃腺に投与してもそれだけではウイルス感染に不十分なことも明らかになった。
この結果は、唾液によるジカウイルス感染のリスクが低いことを示唆している。
ジカウイルスの接触感染をさらに詳しく評価するためには研究を重ねる必要があるが、今回の研究では、ジカウイルスの経口摂取量が十分に多ければ、経口経路によるウイルス感染が起こりうることが示唆されている。
今回の研究結果は、集団内でのジカウイルスの感染拡大過程の解明に重要な意味を持つ可能性がある。
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命に係わるほど強力なウイルスではありませんが、それでも、感染すると高熱と全身の痛みに襲われて、大変な思いをするジカウイルスですが、蚊以外の感染ルートはかなり限られるようです。
なので、虫よけスプレーと蚊取り線香などがあれば、取り敢えず感染は防げます。
ブラジルや東南アジアなど、ウイルスが沢山いるところにお出かけの際は、準備を怠らない方が良さそうです。