エイジレスの295回 磯の匂いが雲を作る
雨は、熱帯地方では例外もありますが、通常は、氷点下15℃以下の低温の雲の中で発生した氷晶が昇華核となって、周囲の水蒸気を吸収して雪片となり、雲中を落下して成長しながら、暖候期には途中で溶けて雨粒となって降ります。
水蒸気が水滴になるためには、きっかけとなる物質が必要なのですが、人工的に雨を降らせるためには、ドライアイスやヨウ化銀が用いられます。
今回のお話は、雨を作る天然の物質の一つである「硫化ジメチル」の放出量の実計測に成功したというお話です。
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DMS(硫化ジメチル)は海のプランクトンにより作られ、磯の匂いのもととなる物質ですが、大気中に放出されると雲を作る働きがあります。
そのため、地球の気候システムを理解する上で、海洋から大気へのDMSの放出量の把握は極めて重要です。
今後、PTR-MS/GF法を用いた観測を広く実施していくことで、大気へのDMS放出量の精度向上につながり、気候システムモデルの精緻化に貢献することが期待されます。
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雲の元になる硫化ジメチルの大気への放出量見積の精度が向
上すると、雨の予測も向上して、福岡、大分、秋田で起きたような豪雨の予測も高い精度で、予測できる可能性があります。
地球温暖化により激甚化している気象の予測は、生命や財産を守るうえでも必要不可欠な技術となりつつありますので、ぜひ、今後の研究も頑張って頂きたいものです。