エイジレスの277回 熱から発電を可能にする新技術

 

 

 熱から電気エネルギーを直接回収する発電方法として熱発電と呼ばれるものがあります。

 

 これは自動車・バイクのエンジン、工場や製鉄所、パソコンやサーバー機などで発生する身近な廃熱を利用する方法や、温泉熱、太陽熱、地中熱などの自然界の熱を利用する方法が知られています。

 

 主に、熱を電気に変える熱電変換素子は、「温度差を有する材料の両端に起電力が生じる」という基礎原理を利用しています。

 

 この原理を利用した発電装置は温度差が大きいほど発電量は大きくなります。

 

 また、小型化が可能なうえ、可動部分もなく発電装置の長寿命化が期待できます。

 

 しかし、現在使われている非磁性体の半導体を利用した発電素子は温度差の方向と起電力を取り出す方向が同じであるため立体的な構造を作ることが余儀なくされ、製造工程が複雑になり大型化や高集積化に伴う製造コストに問題を抱えています。

 

 

 反強磁性体マンガン合金 にて、これまでにない自発的な巨大熱起電力効果が現れることを見いだしました。

 

 従来の温度差のみを利用した原理と異なり物質の磁性を利用した発電原理によるものです。

 

 

 既存磁性体物質より、磁化当たりで100倍大きい熱起電力特性を持つ反強磁性体のため、漏れ磁場を押さえることで高集積化が可能、高効率の熱電変換材料として期待されます。

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 ということで、車の排気熱やパソコンの熱など身近な熱から、工場の排熱、火山や温泉の熱など大規模な熱源まで、どこにでもある熱源を使った発電方式が実用化されそうな技術です。

 

 現在、地球温暖化の影響もあって、災害の激甚化が進んでいますが、被害が大きいと、停電の範囲も大きく広がってしまいます。

 

 そんな時、身近にある熱源を使って発電できる方法があれば、災害時のサバイバル状態の時でも、熱源を確保できさえすれば、発電できますので、大いに役に立つ可能性がありますし、平時においては、電気代の節約にも使えます。

 

 早期の実用化が待たれるところです。