エイジレスの266回 温暖化により欧州でのオゾン前駆物質の排出削減の努力が無駄になる
全球の気温が21世紀中盤に産業革命前と比べて摂氏3度上昇してしまうと、ヨーロッパでのオゾン汚染減少を目指した努力が水の泡となる可能性があります。
地球温暖化が進んだ場合、以下のリスクが指摘されています。
1.高潮や沿岸部の洪水、海面上昇による健康障害や生計崩壊のリスク
2.大都市部への内水氾濫による人々の健康障害や生計崩壊のリスク
3.極端な気象現象によるインフラ機能停止
4.熱波による死亡や疾病
5.気温上昇や干ばつによる食料不足や食料安全保障の問題
6.水資源不足と農業生産減少
7.陸域や淡水の生態系、生物多様性がもたらす、さまざまなサービス損失
もはや、生き抜くことさえ大変な状況になるようでして、現在抱えている個人的な悩みなど、簡単にすっ飛んでしまいそうです。
で、今回は、オゾン汚染が、気温の上昇によっても悪化する可能性があるとのお話です。
----------------------------------------------------
今回、Audrey Fortems-Cheineyたちの研究グループは、地域的化学輸送モデルを用いて、気温が産業革命前と比べて摂氏2度または3度上昇することがヨーロッパにおけるオゾンの表面濃度に及ぼす影響をいろいろな緩和シナリオに基づいて調べた。
温室効果ガス排出量が削減されないシナリオ(RCP8.5シナリオ)では、全球の気温が2040~2069年に摂氏3度上昇すると予測され、ある程度の緩和措置が実施されるシナリオ(RCP4.5シナリオ)では、全球の気温が2028~2057年に摂氏2度上昇すると予測されているが、この地域的化学輸送モデルを用いると、気温が摂氏3度上昇した場合にオゾン濃度が8%高くなることが明らかになった。
この濃度差の原因について、Fortems-Cheineyたちは、RCP8.5シナリオでヨーロッパの境界付近のメタン濃度が高いためにオゾン濃度が上昇することを挙げている。
----------------------------------------------------
ヨーロッパの諸国は、地球温暖化対策には熱心で、CO2の削減は、結構進んできているようですが、メタン濃度が高いために、オゾン濃度も高くなって、結果的に、地球温暖化は避けられない見通しとのことです。
既に、開き直っているトランプ大統領みたいな指導者が増えると、益々、地球温暖化を止めることが難しくなってきているようです。
日本での災害も、激甚化していますし、覚悟して、準備するしかないのかもしれません。