エイジレスの262回 火星の居住可能性

 

 

 地球温暖化、地磁気の逆転(北と南が入れ替わる)、人口爆発など、地球で暮らしにくくなった時のために、火星に移住しようという計画が進んでいます。

 

 現在のところは、解決しなければいけない問題が多くて、すぐに移住というわけにはいかないようです。

 

 で、今回の論文は、そんな問題の一つです。

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 今回、Jennifer WadsworthとCharles Cockellは、過塩素酸塩類の反応性の有無と過塩素酸塩類が枯草菌の生存率に及ぼす影響を調べた。

 

 枯草菌は宇宙船に紛れ込んでいることが多いのだ。

 

 火星の表面での条件に近づけて、過塩素酸マグネシウムに短波紫外線を照射する実験では、過塩素酸マグネシウムが殺菌作用を持つようになった。

 

 また、火星の表面レゴリス(ちり、土、岩石破片が混ざったもの)に存在する過塩素酸塩類の濃度を再現して火星と同じような条件にした上で枯草菌を放置する実験では、枯草菌の栄養細胞の生存能力が数分以内に失われた。

 

 WadsworthとCockellは、火星表面を構成する別の2つの物質(酸化鉄と過酸化水素)が過塩素酸塩類と相乗的に作用するという考えを示しており、その場合の細胞死は、過塩素酸塩類のみが存在して紫外線照射があった場合の10.8倍とする。

 火星の表面は有毒なのではないかという疑いは以前からあったが、今回のWadsworthとCockellの観察結果は、火星の表面がオキシダント、酸化鉄、過塩素酸塩類、紫外線照射という有毒要因のために細胞にとって、極めて有害な状態になっていることを示唆している。

 

 今回の研究によって得られた知見は、惑星の保護、とりわけロボットと人間による探査によって火星が汚染される可能性にとって重要な意味を持つかもしれない。

 

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 かなり深刻な問題のようでして、火星の表面は、生物の細胞にとって、極めて有害とのことです。

 

 移住する際は、有害物質に直接触れるようなことがないような対策をとることになるとは思いますが、火星でも、地球以上の災害があるわけですので、建物も相当丈夫でなくてはなりませんし、壊れた時に、安全に修繕できるようにしておく必要があります。

 

 ということで、この一点だけ考えても、新たな技術開発が必要な話ですので、火星移住が現実化するのは、随分、先の話になりそうです。