エイジレスの258回 血管内皮細胞内で細菌が増殖するメカニズム
大隅良典博士がノーベル医学生理学賞を受賞されて大きく注目されているオートファジーは、自らの細胞内の構成成分を分解するしくみです。
元々、オートファジーは栄養が足りない時にエネルギーなどを確保する経路として知られていましたが、近年になってオートファジーは損傷を受けたミトコンドリアなど様々な有害因子を選択的に分解し、細胞を助けていることが明らかになってきました。
それは細胞内に侵入してきた細菌も例外ではなく、皮膚などの上皮細胞でオートファジーにより細菌を食べて殺していることが分かっていました。
これをゼノファジーといいます。ヒトの体は様々な種類の細胞により作られていますが、上皮細胞以外でのゼノファジーについてはあまりよく分かっていませんでした。
ということで、詳しく調べてみたのが、今回の研究です。
(難しいので、ポイントのみです。)
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研究成果のポイント
・オートファジーによる細胞内の細菌除去が、血管内皮細胞では、起こらないことを発見。
・これは細菌を識別するシステムの問題であり、潜在的に細菌を分解する能力は備わっていた。
・血管内皮細胞のオートファジーを標的とした、新しい感染症治療の研究開発が望まれる。
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ヒトの免疫システムの一翼を担っているオートファジーですが、この仕組みを阻害して、細菌が感染しやすくなる仕組みがあるようでして、この阻害要因を取り除くと、単純に、免疫力が上昇するようです。
今のところ、阻害要因を取り除く方法は確立されていませんが、ターゲットは絞れていますので、そう遠くない先には、開発されることが期待されます。
それまでは、既存の免疫システムを活性化して、自らの体を細菌やウイルスからお守りください。