エイジレスの256回 アンモニアを直接燃料とした燃料電池

 

 

 石油や天然ガス、木、プラスチックなど燃やすと、温室効果ガスである二酸化炭素(CO)がでます。

 

 そこで、登場したのが、燃料電池です。

 

 水素(H)を燃料をしているため、COが発生しません。(水がでてくるだけです。)

 

 しかし、水素をエネルギーとして、車などに積み込むためには、気体である水素を液体にしないといけませんが、-259.2℃まで、冷やさないといけないため、膨大なエネルギーを必要とします。

 

 このため、水素自体は、クリーンなエネルギーですが、液化する工程は、エコとはいえないぐらい大量のCO2を発生してしまいます。

 

 そこで、次に出てきたのがアンモニア(NH3)です。

 

 水素に比べると、-33 ℃で液化するため、圧倒的に少ないエネルギーで、液化できます。

 

 しかも、炭素を含まないため、COを発生しません。

 

 今回は、このアンモニアを使った燃料電池のお話です。

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 アンモニア(NH3)はそれ自身が水素を多く含んでおり、エネルギーキャリアとして期待されています。

 

 エネルギーキャリアとは、常温常圧で気体の水素を、水素を多く含んだ化学物質に変換して、安定に貯蔵・輸送を行うための媒質です。

 

 アンモニアを燃料として発電しても水と窒素しか排出しないことから、化石燃料である炭化水素を利用した燃料電池に比較し、二酸化炭素排出量の削減効果が大きいことが期待できます。

 

 本研究グループは、アンモニアを燃料として直接SOFCスタック(燃料電池をセパレーターと呼ばれる導電性の材料と交互に直列に連結して、電圧および出力を増加させた燃料電池の集合体。

 

 今回は30個を連結した)に供給し、1kWの発電に成功しました。

 

 これまでも小規模な発電には成功していましたが、研究開発の結果、汎用SOFCと同程度の発電出力を達成できたことで、アンモニアがSOFCの燃料として適しており、有害物質や温暖化ガスの発生を伴わない発電が実用規模まで拡大できる可能性を示すことができました。

 

 アンモニアのエネルギーキャリアおよび燃料としての利用技術の大きな進展となり、CO2フリー発電の実現が期待されます。

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 現在、広く普及しているプロパンガス並の設備で、液化アンモニウムを貯蔵できるため、水素に比べると、遥かに普及させやすいのも特徴ですので、意外と、早く世の中に出てくるかもしれません。