エイジレスの233回 セリン(アミノ酸)生合成の新しい制御機構

 

 アミノ酸は、たんぱく質を構成する物質なので、なくなると、生物として存在できなくなるとっても大事な物質です。

 

 体内で生合成できないため、外部から摂取(食べる)必要のあるアミノ酸のことを必須アミノ酸と言います。

 

 ヒトでは、一般に次の9種類が必須アミノ酸に含まれます。
 

 トリプトファン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン

 

 今回のお話は、必須アミノ酸ではありませんが、生体を構成する重要なアミノ酸であることは変わりありませんので、気にかけておいて方が宜しいかと思います。

 

では、論文をどうぞ

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 生体を構成するタンパク質に含まれるアミノ酸は20種類あります。

 

 その一つのセリンは、細胞膜を構成する一部の脂質やDNAやRNAなどの核酸の原材料でもあります。

 

 また植物では、他のアミノ酸のトリプトファン、システイン、メチオニンの原料(生合成前駆体)であり、重要なアミノ酸です。

 セリンは、解糖系やカルビン回路から枝分かれする「リン酸化経路」と呼ばれる代謝経路で生合成されます。

 

 リン酸化経路は、微生物、植物、哺乳動物に保存されています。

 

 大腸菌におけるセリン生合成の制御は、3-ホスホグリセリン酸脱水素酵素(PGDH)の活性の調節が鍵となっています。

 

 しかし、植物におけるPGDH活性制御の詳細については明らかになっていませんでした。

 今回、理研の研究チームは、シロイヌナズナの三つのPGDHアイソザイムの遺伝子(PGDH1、PGDH2、PGDH3)を大腸菌内で発現させて組換えタンパク質を作製し、試験管内でそれぞれの酵素活性を調べました。

 

 その結果、PGDH1とPGDH3の活性は、L-セリンによる阻害を受け、L-アラニン、L-バリン、L-メチオニン、L-ホモセリン、L-ホモシステインによる促進を受けること、PGDH2はいずれのアミノ酸による制御も受けないことが分かりました。

 

 また、PGDH1はトリプトファンの生合成に関わっていることから、シロイヌナズナでは、システイン、ホモシステイン、メチオニンの細胞内量が増えたとき、PGDH1を活性化することで、セリン生合成と続くトリプトファン生合成を促進し、アミノ酸の量的バランスを保っていると考えられます。

 本成果は、生命現象の理解、セリン生合成制御の進化的意味の理解に新たな糸口を与えるものと期待できます。

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 セリンは、グリシンなどから作り出せるため非必須アミノ酸ですが、多くの種類のタンパク質ではグリシンはわずかしか含まれていないので、注意が必要です。

 

 コラーゲンの3分の1を占めるぐらいコラーゲンには、多く含まれていますので、お肌ピチピチの目的だけではなく、セリンのためにも、コラーゲンを食べた方が良さそうです。

 

 因みに、コラーゲンの塊であるゼラチンが、最も効率的にコラーゲンを摂取できるようです。

 

 気になる方は、お試しください。