エイジレスの216回  東沙(Dongsha)環礁でのサンゴの大量死

 

 

 地球温暖化の影響は、オーストラリアのグレートバリアリーフの9割のサンゴを白化させたとの話を、以前紹介しましたが、今回は、もっと日本に近い南シナ海のお話です。

 

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 Thomas DeCarlo、Anne Cohenたちの研究チームは、

 

 太平洋エルニーニョの発生によって南シナ海での海面水温が摂氏2度上昇したことが、南シナ海北部のサンゴ礁である東沙環礁に及ぼした影響を論文にまとめた。

 

 この短期的な温暖化だけで、この海域のサンゴ礁が広範な被害を受けたという可能性は低いが、DeCarloたちは、異常な高気圧によって南シナ海北部での風速と波浪が低下して、外洋での異常な温度上昇(摂氏2度の上昇)に加えて、最大で摂氏4度の温度上昇が起こったことと、6月から7月にかけての6週間に東沙環礁のサンゴの33~40%が死滅したことを明らかにした。

 DeCarloたちは、コンピューター断層撮影を行って、東沙環礁のサンゴのコロニーが1983、1998、2007年のエルニーニョ現象に関連する温度上昇を生き延びていたことを確認した。

 

 このことは、2015年のエルニーニョ現象が、少なくとも過去40年間に東沙環礁を襲ったエルニーニョ現象のうちで最も強力なものだったことを示唆している。

 DeCarloたちは、サンゴ礁の将来予測の大部分が外洋の温暖化に関する推定に基づいているため、多くの浅いサンゴ礁生態系に関する予測が過度に楽観的なものになっている可能性があると主張している。
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 サンゴ礁は、何十年、何百年かけて形成されると言われていますが、南シナ海で起きたサンゴの死滅は、わずか、6週間に起きたことのようです。

 

 ちょっとした気候変動や異常気象が、環境に与える影響はなかなか気づきにくいものですが、サンゴが浅瀬の生態系の大元であることを考えると、地球温暖化の悪影響は、加速的に進んでいるのかもしれません。

 

 6550年前に起きた恐竜絶滅みたいなことが再現されないように願うのみです・・