エイジレスの210回 喘息(ぜんそく)から身体を守る仕組みが明らかに
(難しいので、下の方の慢性炎症を抑える方法だけ読んで頂いてもよろしいかと思います。)
喘息とは、発作性にゼイゼイやヒューヒュー(喘鳴)・息が苦しい(呼吸困難)・胸が苦しい・咳がひどい、などの症状が繰り返しみられる病気で、それらの症状は自然に、もしくは治療により軽快・消失します。
この様に喘息は空気の通り道である気管支の病気です。
喘息発作を起こしているときの気管支には「気管支平滑筋の収縮」「粘膜の浮腫」「分泌物の増加」などの変化が起こっていると考えられています。
発作が治まれば、生理学的にみると肺機能は正常に戻るので、喘息は「発作性の疾患」と長い間定義されていました。
しかし、これは研究が進むに連れ間違っていることが明らかになってきたようです。
現在では、日常から気管支の炎症が存在しているということが次第に明らかになってきたとのことです。
で、その炎症の原因がわかったのが、今回の論文です。
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奈良先端科学技術大学院大学(奈良先端大、学長:横矢直和)バイオサイエンス研究科の川﨑拓実助教、河合太郎教授らは、肺組織に存在する白血球の一種で感染防御などの役割がある食細胞の肺胞マクロファージについて、その細胞の分化と代謝を制御することが、喘息の抑制に重要な役割を果たしていることを初めて明らかにしました。
マクロファージは、肺、脾臓、肝臓などの各組織に存在し、それぞれの組織で異なる機能をもっていることが知られています。
肺に局在している肺胞マクロファージは、肺での感染防御やアレルゲンの除去、肺組織の恒常性維持といった機能を担っています。
肺胞マクロファージ(※1)は、肺に特徴的なマクロファージですが、その分化や生体内での制御は不明な点がありました。
本研究では、イノシトールリン脂質代謝酵素(PIKfyve)(※2)をマクロファージで特異的に欠損したマウスを解析したところ、肺胞マクロファージが未分化な状態では、過剰な炎症を抑制することができず、ダニ由来成分により引き起こされる喘息症状が悪化することが明らかになりました。
さらに、生体内の微量のリン脂質の一種、イノシトールリン脂質の代謝酵素であるPIKfyveが肺胞マクロファージの分化を制御していることもわかりました。
また、肺胞マクロファージのイノシトールリン脂質代謝が慢性炎症の制御に重要な役割を果たすことを初めて示すことができました。
こうしたことから、イノシトールリン脂質代謝を制御することで喘息などの慢性炎症を抑制できる可能性を見出しました。
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ということで、喘息の原因である慢性炎症を抑制するためには、イノシトールリン脂質代謝というのを制御すればいいということですので、お薬の開発においてターゲットが定まったということです。
お薬になって、実用化されるためには、まだまだ、長い年月が必要ですが、原因がわかったわけですので、根本治療につながる話かと思います。
薬が使えるようになるまでは、慢性炎症を抑えるのがよろしいかと思います。
因みに、慢性炎症は、寿命にも影響していて、長寿の方は、慢性炎症の指標であるCRP(C反応性たんぱく)というのが、少ないことが分かっています。
慢性炎症を抑える方法
(食事)
健康的な食文化の代表例で日本食がありますが、併せて地中海食も健康的であるといわれています。
食材は、肉より魚がよく、オリーブオイル、ナッツ類が地中海料理ではよく使われます。これらは、「オメガ3脂肪酸」「ポリフェノール」「リコピン」が多く含まれています。
ただし、これらを摂取すれば、どの国の人も健康になるわけではないことは既に立証されており、日本人には日本食が合っているのではないのか?といわれています。
(運動)
身体活動量が多い方は、毛細血管の細かな血流がスムーズであるといわれています。
これにより、溜まった老廃物を回収する機能が高くなり、炎症の原因の老廃物の減少することにより、慢性炎症を抑えるといわれています。
また、適度な運動により、筋肉をつけることで、血流が良くなり老廃物を取り除くことができます。
老化した細胞を取り除くと新しい細胞が生まれてくるため、CRPの値も下がるといわれています。
喘息の方も、長生きされたい方も、とにかく、慢性炎症を抑えることが重要なようですので、努力あるのみかもしれません・・