エイジレスの206回 亜鉛トランスポーターにタンパク質を安定化させる新たな機能

 

 

 前回も亜鉛のトランスポーターのお話でしたが、このところ、亜鉛に注目が集まっているかのようです。

 

 亜鉛そのものは、必須元素で、原子番号30の普通の金属にすぎないのですが、体内の100以上の酵素に係わっていて、代謝の重要な要素ですが、研究されつくされた感のある物質でした。

 

 ところが、最近、亜鉛を運ぶトランスポーターの働きが重要だとの研究が出てきて、トランスポーターの働きについて、一気に研究が加速しているようです。

 

 前回は、亜鉛トランスポーターが、コラーゲン生成に関与しているとの話でしたが、今回のお話は、コラーゲンを含むたんぱく質全体の安定化についてのお話です。

 

因みに、コラーゲンは、たんぱく質の一種です。

 

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ヒトの体で働くタンパク質の約10%は、亜鉛と結合する構造を持っており、免疫や神経機能、糖尿病やがん転移など、さまざまな生命現象に関わっています。亜鉛と結合することで活性化する酵素は亜鉛要求性酵素と呼ばれ、低フォスファターゼ症※2の発症に関わる組織非特異的アルカリフォスファターゼ(TNAP)※3などが知られています。

 

ポイント
 ・亜鉛トランスポーターは、亜鉛要求性酵素の安定化と活性化の2段階で制御


 ・亜鉛トランスポーターが、タンパク質の安定性を制御していることを初めて発見


 ・低フォスファターゼ症などの治療方法の開発などに大きく貢献

 

低フォスファターゼ症
 骨系統疾患の1つで、骨の石灰化異常や血清ALPの異常低値などを特徴とする遺伝性疾患。

 

 通常、常染色体劣性遺伝の形式をとる。組織非特異的アルカリフォスファターゼ(TNAP)の突然変異により引き起こされ、患者の骨の形成部位では、無機ピロリン酸が分解されないために、骨の石灰化が阻害されると考えられている。

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 難しいお話だったので、要約のみ記載しておりますが、要は、亜鉛トランスポーターが働かないと、亜鉛が働かないために、亜鉛不足と同じような病気になるということのようです。

 

で、今回の論文にも、トランスポーターを活性化させるには、どうすればいいのか書いていないので、代謝を活性化させるのが、とりあえず出来る方法ですので、関連記事をご覧ください。

 

 

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