エイジレスの203回 役に立たない方がいい、役に立つ技術
このところ、北朝鮮の核開発とか、ミサイルの打ち上げとか、テロなど、物騒な話が絶えませんが、今回のお話は、最悪の事態になったときに、役に立つ技術です。
最近、日本原子力研究開発機構さんが、内部被曝(ひばく)事故を起こしましたし、意外に、身近な話かもしれません・・
通常、放射線は、目に見えません。なので、検知器を使って、その存在を知ることとなります。
ところが、現在の検知器で測るには、放射線がでているところから、数メートルの範囲に近づく必要があるため、測定者は、間違いなく被爆します。
被曝すると、細胞が壊れて、重大な健康被害や最悪、死に至ります。
日本原子力研究開発機構さんの事故のように、放射性物質が体内に入り込んで、内部被ばく状態になると、常に、強い放射線を浴び続けることとなり、ガンを含む重大な健康被害に見舞われる危険性があります。
なので、危険そうなところは、ロボットなどを遠隔操作しながら、測定するしかありません。
そこで、開発中の技術が今回の論文です。
原子力災害にも役に立ちそうです。
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ガイガーミュラー計数管やイオンチェンバー検出器などの従来の放射線探知器は、放射線源の遠隔探知の点で、技術的限界があった。
例えば、ガイガーミュラー計数管は、最大3.5 m離れたところにあるコバルト60が発する1ミリキュリー(mCi)の放射線を探知できるが、それより少量の放射線や、それより遠くにある放射線源の探知はできない。
今回、EunMi Choiたちの研究グループは、高出力パルス電磁波を用いて放射線源を高感度で探知する方法を実証した。
この技術は、数年前に提案されたものだが、今回の研究で、その妥当性が実験的に確認された。
この研究では約1.2 m離れた放射線源(0.64 mCiの放射線を発するコバルト60)を探知できることが実証されたが、さらなる最適化によって最大1 km離れた放射線源の探知も可能になるという考えをChoiたちは示している。
遠隔探知ツールの利用は、放射性物質の安全な取り扱いに役立ち、原子力発電所の事故や核兵器の探知など原子力災害に対応する際に利用できる可能性がある。
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ということで、現在のところ、1.2mと従来と変わらない距離の放射線を測定できた~ということですが、将来的には、1km先の放射線源を探知できるという事なので、原子力災害には、非常に役に立つ技術だと思います。
既に、心待ちにされている方もおられると思いますが、今しばらく、お待ちください