エイジレスの195回 「肥満=糖尿病」ではないお話

 

 

 糖尿病の方の多くが、肥満気味であったことから、かつては、糖尿病予防対策として、ダイエットを推奨していた時期がありましたが、現在では、太っていなくても、糖尿病になる方が少ないことから、認識が変わってきています。

 

 今回のお話は、糖尿病になる仕組みが解明されたというお話です。

では、論文をどうぞ

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 肥満にともなう脂肪酸代謝の異常や臓器における脂肪酸の過剰蓄積が、糖尿病を引き起こすことはすでに知られていました。

 

 が、脂肪酸の質(種類や組成)の異常の意義は十分に解明されていませんでした。

 

<研究成果のポイント>

 

 1. 糖尿病の発症には脂肪酸のバランスが関与しており、このバランスを制御することで糖尿病の発症が抑 制されることを明らかにしました。

 

 2. 脂肪酸バランスの変化には脂肪酸伸長酵素 Elovl6 が重要な役割を担っており、糖尿病モデルマウスで Elovl6 を欠損させると、膵臓のβ細胞が増え、インスリンの分泌量が増加して血糖値が低下し、糖尿病の 発症が抑制されました。 

 

3. 脂肪酸バランスの適切な制御やElovl6 活性の阻害が、糖尿病の予防・治療標的として有用であると考 えられます。

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 つまり、「Elovl6という酵素」が活性化すると、糖尿病になりやすいということです。

 

 なので、この Elovl6という酵素が働かないようにすれば、糖尿病を予防できるし、治療もできるということです。

 

 これまで、糖尿病と言えば、生活習慣病の代表みたいなイメージで、その治療には、食事制限など、生活習慣の改善が必須条件だったのですが、これからは、そんな必要がなくなるかも・・しれないということです。

 

 但し、今のところ、未解明な点もあって、手放しで喜べる状況にはなっていません。

 


1.どの組織でのElovl6発現がインスリン抵抗性の発症に関わっているのか?
 

2.脂肪酸組成の変動が、どの脂質クラスにおいて変化しているか、またどの細胞内部位において変化しているのか?
 

3.Elovl6による脂肪酸組成の変動が、どのようにしてエネルギー代謝・インスリン感受性制御系に影響を与えるのか?  

 

 

ということで、現在も研究中とのことですので、今しばらくお待ちください。

 

 既に、糖尿病の方は、やっぱり、生活習慣の改善をしつつ、新薬の開発をお待ちください。