エイジレスの193回 肥満細胞の制御で、アレルギー治療

 

 

 「肥満細胞」は、哺乳類の粘膜下組織などに存在し、免疫反応などの生体防御に重要な役割を果たしています。

 

 肥満細胞といっても肥満とは関係ありません。19世紀に発見された当時、膨れた様子が肥満を想像させることからついた名前です。

 

 肥満細胞の免疫システムをうまく制御すると、アレルギーなどの新たな予防・治療法の開発につながると期待できるとの論文がでましたので、ご覧ください。

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私たちの体は、細菌やウイルスに対しては、1型ヘルパーT細胞を主体とする「1型免疫応答」を誘導するのに対し、

 

 腸管寄生線虫と呼ばれる寄生虫に対しては、2型ヘルパーT細胞や2型自然リンパ球を主体とする「2型免疫応答」を誘導します。

 

今回、寄生虫感染に対する肥満細胞の働きを調べました。

 

 その結果、次のことが分かりました。

 

①寄生虫がマウスの小腸に到達すると、腸管の上皮細胞を突き破ります。

 

②その際、上皮細胞からアデノシン三リン酸(ATP)が放出され、そのATPが粘膜組織下の肥満細胞のATP受容体(P2X7)と結合して肥満細胞を活性化します。

 

③活性化された肥満細胞は、インターロイン-33(IL-33)という特定の細胞に情報を伝えるタンパク質を分泌します。

 

④IL-33は2型自然リンパ球を活性化し、こんどはインターロイキン-13(IL-13)が分泌されます。

 

⑤IL-13は腸管上皮の杯(さかずき)細胞を刺激してムチンという粘液を分泌させ、寄生虫が体外に排出されます。

 

 本研究で明らかになった“肥満細胞が2型自然リンパ球を活性化し誘導される2型免疫応答”は、実はアレルギーなどの難治性疾患の原因にもなっています。

 

 今後、肥満細胞に端を発する2型免疫応答の誘導を抑制することができれば、アレルギーなどの新たな予防・治療法の開発につながると期待できます。

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 つまり、寄生虫が入ってきても体外に排出する仕組みになっているのですが、これが、アレルギーの原因の一つだということです。

 

 最近、生の海産物を食べて、アニサキスという虫で大変なことになる方が増えているそうですが、この虫も、1回目の侵入に対しては、身体の免疫システムは反応しないのですが、2回目以降は、激しくアレルギー反応を示すらしいです。

 

 アレルギー体質でなくても、生の海産物は、気を付けた方が良いようです。特に、サバやイカは・・