191回 ヒトを電気で動かす?リハビリ最新治療法

 

 

 人は、糖と酸素をエサにして、自らエネルギーを生産して、体内に微弱な電流を流しながら動いています。

 

 特に、心臓は、何もしなくても、規則正しく、電流を流したり止めたりを繰り返して、健気に頑張ってくれています。

 

 なので、ホントは、よく頑張てるね~なんて、いたわりの言葉でもかけていけないのですが、病気になるまでは、感謝の気持ちさえ気づかないのが普通です。

 

 で、今回、感謝の気持ちを忘れたがために、自らの身体がご主人様の意図に従わなくなった方にとって、良いお話です。

 

論文をどうぞ

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 頭の表面に弱い直流電流を流す技術(経頭蓋直流電流刺激)を用いて,人の身体のイメージ操作能力(※1)を高めることが可能であることを確認しました。

 

 経頭蓋直流電流刺激とは,1~2ミリアンペア程度のほとんど本人が気付かないくらい弱い直流電流を10~20分程度通すことにより脳神経の活動を変化させる方法で,近年,脳卒中後のリハビリや,うつ病などの治療への応用が期待され,世界中で研究されています。

 

 今回,金沢大学と浜松医科大学では,陽電子放射断層撮影(Positron Emission Topography: PET ※2)による脳の可視化と,経頭蓋直流電流刺激による脳制御という2段階の実験を行いました。

 

 本研究の論文は,身体の視空間情報処理に関係する後頭部(外側後頭側頭皮質:視覚情報処理で重要な部位,図)を刺激することにより,身体のイメージ操作能力を高めることを世界で初めて示した論文となります。

 

 本研究の成果により,身体のイメージ操作能力の向上が認知機能の改善に作用し,リハビリが必要な人の早期回復など,人々の活力溢れる生活の実現につながる応用が期待されます。

 

【用語解説】
※1 身体のイメージ操作能力
身体の動きを脳内で想像する能力。運動学習において重要である。

※2 陽電子放射断層撮影
放射性の陽電子を入れたブドウ糖に近い成分を体内に注射し,その成分が多く集まる部分を測定するもの。主にがんの検査に使用される。

 

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 リハビリを受けたことはありませんが、見ていると、なんか辛そうですし、周りの助け以上に、本人の強い意思が治療に大きく影響するようです。

 

 ですが、世の中、頑張れる人ばかりではないので、頑張れ、頑張れと言われても、そう簡単にはいかないだろうと思います。

 

 その点、今回の研究は、身体が勝手に動いてくれるので、かなり楽ちんなのではないかと想像しています。

 

 しかも、超微弱電流なので、身体に対する負担はなさそうですし、一日中できるようになるかもしれません。

 

 人の脳は、使えば使うほど、使えなくなった脳の部分が担当していた作業を周りの脳細胞が補完していくことがわかっていますので、本人のさしたる努力もなしに、脳の機能が回復してくれるのは、実にありがたいことかと思います。

 

 徐々に、臨床試験も始まっているようですので、今、リハビリ中の方でも、臨床試験に参加できるかもしれません。

 

 幸運を祈念しております